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EU堅持の防衛ライン「フランス・ドイツ同盟」に死角はあるか?=大前研一

【米中】「100日計画」内容公表の真相に迫る

米中両政府は11日、4月の首脳会談で合意した100日計画の内容を公表しました。これは貿易不均衡の是正に向け、中国がアメリカ産牛肉の輸入を始めるほか、金融分野でも規制を緩和するのに対し、アメリカは中国が進める「一帯一路」構想の重要性を認め、関連会議に代表団を送ることなどが盛り込まれています。両国は早期に成果を公表し米中協調をアピールする考えです。

これはかなり意外な事です。4月23日からほとんど連日連夜、米中のチームが討議をして、結果的に発表できるところまできました。特に、今まで禁じていた牛肉の輸入を解禁し、金融の規制緩和をしてアメリカの企業、サービスが中国でも出来るようにするなどとという内容になっています。また中国産の鶏をアメリカが輸入することなども含まれています。

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中国は最大の問題で、敵であると言っていたピーター・ナヴァロの意見などとは程遠いような結果です。しかも「一帯一路」の重要性を認めるということも含め、発表できるようなところまで来てしまったわけです。中国とラブラブな関係となり、トランプ大統領も「習近平はいい男だ、いろいろとやってくれている」などと言い、驚くほど近づいてしまっています。

ただし、ニューズウィークなどには、結局は中国を利することになり、為替管理国でもなくなり、トランプ大統領の素人外交は困ったものだという記事が出ています。他の記事でも、トランプ大統領はツイッターばかりで真面目に外交ゲームをやっていないとし、その間に習近平は着実に駒を進めているという風刺画があり、まさにそのような状況と言えるでしょう。

今まで、ナヴァロ氏は「中国が最大の問題であり、アメリカのすべての問題は中国にある」と言っていたのが、どこかへぶっ飛んでしまったという困った状況なのです。北朝鮮を見たら中国の手を借りなくてはいけない、下手に手を出せば韓国が攻撃され、在韓米軍も危ないことになるので、中国にやらせれば良いといいながら、ツイッターばかりしていて、真面目にゲームの駒を進めていない、まさに風刺画通りの状況になっているのです。

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グローバルマネー・ジャーナル』(2017年5月17日号)より抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による

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