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日銀の新緩和策が「矛盾とデタラメ」に満ちてしまった本当の理由=近藤駿介

21日に日銀が打ち出した追加緩和策「金融緩和強化のための新しい枠組み:長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、金融緩和策が限界に達したことを露呈する結果となった。また、緩和策に限界に来ていることを隠そうとするあまり、矛盾に満ちた「出鱈目な金融政策」になっている。(『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』近藤駿介)

プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。

期待に働きかけるとしつつ、国民に通じない言葉を連発する日銀

専門家にも記者にも意味が分からない横文字だらけ

21日に日銀が打ち出した追加緩和策「金融緩和強化のための新しい枠組み:長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、金融緩和策が限界に達したことを露呈する結果となった。また、緩和策に限界に来ていることを隠そうとするあまり、矛盾に満ちた「出鱈目な金融政策」になっている。

【関連】「緩和強化」という言葉遊び~黒田日銀の“転進”で終わる株高モード=E氏

この「出鱈目な金融政策」のいくつかについて、一つずつ指摘していく。

まず指摘しておきたいのは、日銀の説明能力に関わる問題点だ。

「イールドカーブ・コントロール」「オーバーシュート型コミットメント」「適合的な期待形成」「フォワード・ルッキングな期待形成」…。21日に日銀が打ち出した追加緩和策「金融緩和強化のための新しい枠組み:長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の公表文には、金融・経済の専門家でもほとんど耳にしたことのない言葉がちりばめられていた。

これらの言葉には共通点がある。それは、基本的に金融セミナーなどで一般の方向けには使うことを避ける言葉だということ。それは、一般の人には通じないからだ(実際には記者会見に出席している記者などにも通じていないと思われる)。

日銀は「総括的検証」の中で、「量的・質的金融緩和」は「(日銀が)2%の目標を実現すると強く約束し、実際に大規模な緩和を行うことで、人々の物価に 対する見方を変える」と、人々の物価観を変えることで「2%の物価安定目標」の達成を目指す政策であることを再確認している。

そのうえで、「2%の物価安定目標」が達成できなかったのは、原油価格の下落や消費増税後の消費低迷、新興国経済の減速などにより、人々の物価観が下押しされたことが主要因だと結論付けている。

そして、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を実施したのは、(人々の)予想物価上昇率をより強力な方法で高めていくために、『マネタリーベースの拡大方針を継続する』と約束することで、『物価安定の目標』の実現に対する人々の信認を高めることが適当であると判断」したからだとしている。

Next: なぜ日銀は難しい言葉を使うのか/繰り返される「間違ったアプローチ」

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