限界に近づく日銀
日経新聞は、「短期国債市場の主役が日銀から外国人に交代した」と報じています。今年2月末の時点で、外国人の短期国債の保有比率が5割を超えたとのこと。
彼らの手口は、国債とCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)をセットにして購入することです。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)とは、国債が暴落した時、損失分が補てんされるというクレジット・デリバティブの一種です。CDSが保険の代わりを務めるのです。
外国のヘッジファンドにとって最良のシナリオは、購入した日本国債の金利が上がることです。短期償還時の利息で潤い、国債が暴落して損失が生じた分だけCDSによって補てんを受けることができるので、まさに一挙両得というわけです。
そのため、ヘッジファンドは何かの悪材料を探して国債の先物を売り浴びせたくなるでしょう。つまり、ヘッジファンドは、日本国債を売ることによって利益を得ることができるのです。
しかし、現実には、日本の金融機関が国債の買いに打って出るので、下手をすれば海外のヘッジファンドは、再起不能の返り討ちに遭うリスクもあるのです。
ところが、日銀のマイナス金利導入によって、三菱UFJが国債特別資格を返上したように、今まで、国債の大口引き受けてであったメガバンクが、財務省のコントロールから逃れようとする動きが見えるのです。
これは、「もう、日本政府に言われても国債を買わない」という婉曲な意思表示です。
裸状態になった日本国債をヘッジファンドの猛威から守るのは、もはや日銀しかないのかもしれません。
その日銀も、これ以上、国債を引き受けることができない限界に達しています。