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日本株への影響は?トランプ大統領とイエレンFRB議長「本当の相性」=E氏

トランプの経済金融政策は矛盾だらけ

実は、トランプ政権の経済金融政策は、それ自体が整合性に欠けています。

彼は通商政策や雇用政策では米国内での雇用回帰を重視しているのでドル安を指向しているといえますが、大盤振る舞いとも言える経済対策期待を市場に過度に植えつけることは(選挙後のマーケットの反応のように)ドル高政策に繋がりますから、彼が公約に掲げている政策が全て実現する可能性は低いのです。

経済対策で景気が上向きインフレ率が上昇することでドル高になる米国に、米企業は雇用維持のために(他国に作るはずだった)工場を米国に作るはずがありません。世界的に展開する多国籍企業の収益ウエイトが高いこともあり、米国株のバリュエーションを決定する企業収益にドル高は多大な開く影響を及ぼします。

このため、ドル高政策である経済対策とドル安政策である国内雇用重視、米国企業の国際競争力上昇が同時に実現すことはありえません。おそらくは、大型経済対策を実行しても財源の裏づけが乏しいので、ドルの信認が低下するということになるので、大型減税などの経済対策を行ってもドル安に向かうというのが正しい方向と私は考えていますが、今のマーケットはこの矛盾しているトランプの政策発信で右往左往しているのです。

つまり、対外圧力の情報発信が相対的に多いときはドル安/他通貨高につながり、先週木曜に突如出てきた減税策のような財源なき経済対策の情報発信が先行した場合はドル高に向かうのです。

年初来、世界のマーケットがドル安リスクオフ的になった理由は、昨年11月以降の過剰とも言えるインフレ期待が落ち着き、政権が実際に発足してからの彼の政策優先順位がドル高政策でなかったからです。

トランプ大統領は就任後外交面でタカ派的な政策を打ち出していますし、孤立主義ともいえる米国の産業保護に重きを置いた外交、通商政策を展開していましたので、マーケットはドル安に反応していたのです。

では、この動きが一貫性を持っているかというと全く違います。先週木曜に業界団体との会合で突如出てきた「目を見張るような減税が今後数週間程度で出てくる」という発表で先週木曜の米国株及び、金曜の日本株は急伸しましたが、この補足が政権高官から一切出てきません。

つまり、相変わらず、経済対策は大衆迎合的で財源の裏づけも議会への根回しも一切されていない実現性に乏しいものなのです。

そもそも、トランプ大統領がどういう順序で思いつき発言をするかなんて誰も知りえませんし、おそらく本人も理解していないでしょう。思いついたらTwitterやその場に居合わせたメンバーにしゃべっているだけで、きちんとした段取りで公式な発表をしていません。

だから、たまたま米国景気に期待が持てるような発言が続くと米国株はリスクオンになりますが、移民政策など強硬な姿勢が目に付くと先行き懸念でリスクオフ的になってしまうだけです。これは一貫性も方向性もなく、場当たりでしかありません。

つまり、FRBは緩やかにタカ派的な見方にシフトしていますが、トランプ政権は、公約の優先順位上位の政策自体に矛盾を抱えているので、どの政策が話題になっているかで、ドルや米国金利の方向性が一喜一憂しているだけで明確な方向性はありません。たまたま、現時点ではFRBの見方とトランプ政権の政策による今年期待される金融政策の見方が均衡しているというだけなのです。

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