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日本株への影響は?トランプ大統領とイエレンFRB議長「本当の相性」=E氏

日本株への影響を予測するヒント

最後に、こうしたFRBの見方とトランプ政権の政策が、短期的に日本株及び円相場にどういった影響を与えるかですが、ごく短期的には根拠なき期待感でリスクオンが続き易いと思われますが、FRBの金融政策の方向性やトランプ政権の公約を考えると、基本的に円高に推移する可能性の方が高いので、突然梯子を外されるような下げに対する注意が必要でしょう。

先週金曜の日本株があれほど上げたのは、本邦投資家による買いが原因です。これは米国の減税に対する期待と週末の日米首脳会談期待がメインと言われていますが、ダウが2万ドルに乗せているのだから、日経平均も2万円になって然るべきという根拠なき相場観も少なからずあると思われます。

週末の日米首脳会談はポジティブに捉えられましたが、当然ですが、トランプ大統領は米国の大統領であって、日本の大統領ではありません。なので、本来日本の国益なんか考える必要はないし、実際そのようにするはずですが、今は懸念していた割には脅されなかったという安心感が、過度な日本株期待/円安に結びついています。

本来日本株には関係がない米国の減税で米国株が期待先行で強いのは頷けますが、本邦投資家はダウが更に上がると、置かれたファンダメンタルズが全く違うのに、日経平均も2万円に乗せるべしという見方で買い進む動きが継続するかもしれません。

しかし、トランプの政策が日本向けでない以上、先週金曜以降の株価上昇はファンダメンタルズの裏づけに乏しいものなので、目標到達後は独歩安を覚悟すべきでしょう。

実は、年初来のドル安円高基調は、トランプ政権の政策優先順位がドル安的なものが続いただけではなく、昨年11月のトランプショック以降の動きがあまりに行き過ぎだった反動による投機筋の買戻しによるマーケットインパクトも大きいです。

過剰ともいえるインフレ期待が是正され、トランプ政権の政策優先順位の高さが「ドル高政策より雇用維持というドル安政策」だと見え始めたことで、昨年末にかけて投機筋によって作られた過大な円ショートポジションが巻き返されているのです。年初来一貫して、投機筋の円ショートは買い戻されていますが、依然としてピークの半分程度しかショートの解消が進んでいません

トランプ大統領が次にどんな政策をつぶやくかは誰にも知りえませんが、彼が日本重視の政策をする可能性よりは、上で見たようにドル安政策をする可能性の方が高い以上、投機筋のショートスクイズはまだ続きやすいです。

従って、少なくとも今年前半は円高基調が続き易いといえる中で、万が一、日本株が日経平均2万円乗せというファンダメンタルズのサポートなき目標で突き進んだ場合、本邦投資家以上にマーケットインパクトを持つ投資家によって梯子を外されるリスクが高くなるでしょう。

米国人以外で、米国人向けに大衆迎合政策を行うトランプ政権を、日本人ほど日本にとってポジティブだと考える人種は他にいないでしょう。

赤信号もみんなで渡れば怖くないないので、こんな根拠なき信念でも日本株がファンダメンタルズと乖離して独歩の動きをし続ける可能性はありますが、みんなが考えていた目標に到達するか、為替政策や通商政策などで対日圧力が出てきた場合、当然悲劇的な末路が待っているといえます。

それは、本邦投資家による円買い戻し圧力と日本株叩き売りです。つまり、日本人自らで買い上げて、自らで叩き売る独演会が始まったのです。

いくら場当たり的な政策発表で一貫性がないと言っても、トランプ大統領は米国の大統領なので、日本の国益に合致した政策をするよりは日本にとって不利な政策発表をする可能性の方が高いのです。

昨年の米国の貿易赤字で中国に次いで2番目の赤字を計上させたのは他でもない日本なのですから、ゴルフをして長い時間ハグをしたからといって、いつまでも日本株に都合が良いトランプ大統領でいるはずはありません

トランプ大統領がどこの国の大統領か、今一度思い起こしておく必要があるでしょう。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年2月14日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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