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森友学園と国の「危険な共謀」仕組まれたゴミ混入率が意味するものとは?=近藤駿介

籠池理事長発言の致命的な矛盾

施工現場の観点から、見積額の算出プロセスのいったい何が疑問か?

まず、「杭打ちが行われる部分は深さ9.9メートルまで地下埋設物を撤去する」というところだ。これに対して籠池泰典(かごいけやすのり)森友学園理事長は、「杭打ちを行う部分のゴミは撤去したが、それ以外は撤去していない」と発言しているが、この発言には大きな疑問を覚える。

この国有地は以前沼や水田だったところで、地質的には含水比の高い粘土層で軟弱地盤である可能性が高い。こうした土地を深さ9.9メートルまで掘削し、ゴミを撤去するためには、鋼矢板(こうやいた)などを打ち込んで土留めをする必要がある。

筆者はトンネル基地を作るために軟弱地盤を15メートルほど掘削したことがあるが、鋼矢板を打ち込みクラムシェルという掘削機で掘削するという大掛かりな工事だった。こうした軟弱な粘土地盤を土留めせずに10メートル近く掘ることは不可能なうえに、普通のショベルカーや人力では掘削できないからだ。

つまり、「杭打ち工事に障害を及ぼす地下埋設物や生活ゴミを取り除く作業」を実施するにあたって、別の杭打ち工事が必要になる可能性が高いのだ。

しかし、そもそも鋼矢板が打ち込める状況であれば、建物の杭を打つことも難しいことではない。2017年4月の開校ありきで物事を進めてきた森友学園が、資金も工期もかかる埋設物の撤去工事を行った、というのは考え難いことに思える。

もし本当なら「考古学上の大発見」

さらに、「9.9メートルの深さから杭打ち工事に支障をきたす生活ゴミ等が出てきた」という話自体も信じ難いものだ。この国有地はもともと沼や水田であったところであり、その後1970年前後に宅地化されていった土地である。

沼があったということは、もともとこの土地が周囲より低いところにあったということである。また、一般的に水田や畑は道路面よりも1~2メートルほど低いところにあり、住宅は道路面より若干高いところに作られるものである。

つまり、もともと沼や水田であったところを宅地にする際には、3メートルほど土砂で埋め立てる必要があるということ。筆者もかつて、工事基地として借りていた道路より2メートルほど低いところにあった畑を、工事終了時に道路より1メートルほど高い畑にして、いつでも宅地として売り出せる状況に造成して返還した経験がある。

森友学園が購入した国有地の深さ3メートルまでのところに地下埋設物やゴミが存在し、3メートルまでの土壌改良工事でヒ素と鉛が取り除けた、という事実から想像されることは、沼や水田であったところを宅地に造成する際に、土砂と一緒にゴミや有害物質が埋められたということである。

また、もし杭打ち時に9.9メートルの深さから大量の生活ゴミが見つかったというのが本当であれば、沼が出来る以前、何千年か何万年前に生活ゴミが埋められたということになる。もしそうだとしたら、何万年前の古代人が靴下や長靴を使っていたことになり、考古学上の大発見になるはずである。

そもそも、杭打ち工事を行う前には、ボーリング調査を実施して地質を確認するものである。その過程で、47.1%もゴミが含まれていたら気が付かない方がおかしい。日本の技術者の目はそこまで節穴ではない。

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