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日経平均の「理論株価かい離率」は何%までが妥当水準?ITバブル高値更新の次を探る

日経平均の妥当水準の範囲は?

下図は前ページと同期間について、日経平均と理論株価のかい離率を示したものです。

日経平均と理論株価のかい離率(%)─2014.1.6~2015.6.22─

日経平均と理論株価のかい離率(%)─2014.1.6~2015.6.22─

中央の赤い横線はこの期間のかい離率の平均を示しており、マイナス0.2%とほぼゼロになっています。

かい離率はこの平均線を挟んで、下はマイナス10%、上はプラス13%近くの間で変動しています。

ここで、かい離率がかなり大幅に変動しているのにも関わらず平均がほぼゼロになっている点にご留意ください。これは、日経平均は時に理論株価から離れても一定期間をとるとプラス(上振れ)とマイナス(下振れ)が相殺されて理論株価の水準に戻ることを示しているのです。

これはとりもなおさず、日経平均がある程度を超えて理論株価を上回る、あるいは下回ると、それだけ大きい戻りがくるという事です。すなわち、このある程度の水準が注意領域の境という事になります。

再度、上の図をご覧ください。平均線をはさんで上と下に紺色の線が引いてあります。これは、平均を中心とした上下それぞれの変動幅の平均の位置を示します。

平均変動幅を求めると4.8%でした。したがって上側の境界は平均のマイナス0.2%に4.8%を加えて4.6%、下側の境界は平均のマイナス0.2%から4.8%を差し引いてマイナス5.0%となります。

ここで、上述の“ある程度”をこの平均的な変動幅の境界とみなすことは一つの見方と言えるでしょう。

事実、かい離率はこの上下の境界線に挟まれた範囲でおおむね変動しています。この範囲内であれば日経平均は妥当な水準と言ってよさそうです。

ちなみに、6月22日時点のこの境界の値を求めると、下限が1万8500円、上限が2万400円となります。当日の日経平均は2万428円でちょうど高値の注意領域に足を踏み入れるギリギリの位置にいることになります。

業績予想と為替が今後も現状で推移するとすればここからの日経平均の高値追いは注意が必要ということになります。

ただし、前回の講座でもご案内しましたが、業績予想と為替の動向次第で理論株価は変化します。

これらの要因をどのように想定するかで日経平均の妥当な水準も変わりますので、相場の評価は複眼で行わなければなりません。次回講座でこうした視点から相場の展望を行う予定です。

筆者プロフィール:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

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投資の視点』(2015年6月24日号)より一部抜粋

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