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いつか来る「出口戦略」のことを忘れてはならない!そのとき市場はどうなる?

平成バブル抑止は打つ手が遅かったしオーバーキルだったとはいえ、通常の金融引き締めという手があった。異次元の現在には通常の引き締めのブレーキがない。銀行間にカネが潤沢にあるから日銀がいくらおカネの量を絞っても金利は動かない。銀行に余っている資金を吸収して量的緩和以前の状態に戻さねば日銀は市場を誘導できない。嘗て日銀が自在に市中金利を動かせ得たのは銀行間市場で流通している資金の需給が概ね均等だったからである。

よって、異次元量的緩和という「通常なら禁じ手とされてきたカード」を切ってしまった以上は利上げは簡単にはできない。出口戦略なんて誰にもわかってはいないのだ、と言える。現にR・クー氏の言うには(2カ月前のことだったが)「出口戦略についての論文は世界に一本もない」のだそうだ。

この言い分は、かの“過激発言”と“伝説のディーラーで鳴らしてきた”と自称する藤巻健史氏と概ね同一軌道にある、と言わねばならない。

一方、日銀の日本株購入は昨年下期の約2倍の1.7兆円弱になるから、海外投資家に次ぐ大手買い手になった。日銀の存在感が強まれば既報で述べてきた「官製カンヌキ相場」の要素を強め、将来、日銀が「出口」に向かえば従来の買い勢力は売却勢力に変化するのか、少なくも買い入れ減額には間違いなくなるから市場の波乱要因にはなる。「今はそれを考える時期ではない」という意見には筆者も賛同するが、我々は「いつの日かには必ず来る」ということだけは脳裡に置いておくべきであろう。

山崎和邦 週報「投機の流儀」』(2015年7月5日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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