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4月に迫る「種子法廃止」は、なぜ異例のスピードで成立したのか?

何がなんでもTPPに参加したかった日本

資料には「戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。そうした体制整備に資するため、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する」とあります。

この議論が進んでいるときはドナルド・トランプ政権発足前、まさかアメリカがTPP交渉から離脱するなんて思ってもいなかった頃の話です。

とにかく何がなんでもTPPに参加しようと、ある意味強引にいろんな規制緩和に関する法案を通そうとしていたときでした。

年初のダボス会議で安倍総理が、政権政策の一番はTPPだと明言した年でした。

「種子法廃止」は外資の参入を促す?

TPPの中心的な考え方で、同じ産業において民間企業の競争を妨げる国等の関与が認められた場合は、国を相手に提訴することができるISD条項があり、それゆえ、同業種における競争条件をフラットにする(イコールフッティング)必要があるという考え方です。

それゆえ国が直接事業に関与してるものは見直す必要がありました。金融業界における郵政、賃貸業におけるUR事業国金貸付もそうですね。

このイコールフッティングの考え方は、TPP反対者からすれば「外圧」とみなされていました。自由競争は外資の参入を促すことになるというのが反対者の意見でした。

西川芳昭教授が懸念する「種子の私有化」

西川芳昭龍谷大学経済学部教授はかつて雑誌のインタビューで

種子法廃止の根本的な問題として、新しい品種をつくるために素材となる遺伝資源である品種は、国や都道府県が“公共の資産”として持つという考え方だったのが、民間に委ねられた場合、遺伝資源を基にして改良された新品種について、改良部分だけでなく種子全体に特許をかけ企業がその所有権を主張するのではないか…。

という懸念を指摘されています。さらに、

ロイヤリティ(特許料)を払わなければその種子が使えなくなる、遺伝資源が企業に囲い込まれてしまう、これは「種子の私有化」を意味する。

とも指摘されています。

Next: 野菜では既に数社の多国籍企業が「種子」を牛耳っている

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