株価が好調になると囁かれる「バブル」。最近では中国株の暴落に対し「バブル崩壊か」と話題となっていますが、はたしてバブルか否かはどう判断すればいいのでしょうか。投機家で大学教授の山崎和邦氏がバブルの定義に関する持論を語ってくれています。
バブル。それは後になってみなければわからない
バブルとは何か。それは人類の歴史と共にあった。通俗的には、資産価格が実体価値を大きく離れて取引されている状態というが、では実体価値とは誰がいかなる尺度でいつ決めるのか、である。
この考え方に筆者は昔から賛成しなかった。これではバブルはその最中には気がつかずグリーンスパンが言う通り「あとになってみなければ解らない」ものとなる。筆者はもっと単純に考えて平成バブルもその前のブラックマンデーも事前に全部を売り切った。
そのかわりに、最後の9合目から10合目の一番爛熟した旨みは食えなかった。これはやむを得ない。キャッシュポジションを高く取って暴落過程を絶好の買い場近しと好機到来を楽しみながら待てる。
ヒト様が青くなっている最中に好機到来を待つと言うのは爛熟相場の旨みを捨てた代償としては充分にオツリが来る。
そういう筆者のバブルの定義は単純だ。
- 長期的に持続しそうもない高値で資産が取引され
- しかも通常時より大量に取引され
- 且つ、誰もが当然と思っていて
- それが理路整然と説明したがる者が多く出る
この状態を言う。
なお、十分条件を付ければ、
5.誰かが気がついて「今はバブルだ」と言うと皆にバカ扱いされる
この5番目の条件が重要だ。
その代表は1929年秋の大暴落とその後の長期の世界恐慌を暴落の前に言い当てて講演しNY中から失笑と爆笑を買ったロジャー・パブソンだ。いつか既報で詳述した。
ところで、10日の衆院財政金融委員会で黒田総裁は「金融市場について『バブルの動きは観察されていない』と話した」(日経新聞16日版、記名入り記事、原文通り)。
80年代バブルの契機も、1986年に“逆オイルショック”の大幅な原油安から起きた。資産価格は上がり続けたがインフレ率は上がらなかった→日銀は中々金利を上げる事が出来なかった→株価・地価のバブルを助長する可能性を助長した、という経路を辿った。
日本では、歴史上初のマイナス実質金利がアベノミクスで作られ、実体経済のわりには株と不動産は上がりつつある。
『山崎和邦 週報「投機の流儀」』(2015年7月12日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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