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原子力ムラの苦悶を象徴する東芝の粉飾決算。マスコミはなぜその肝心“金目”を突かないのか?=高野孟

「東芝は元気、原発の失敗は問題ない」を印象づけた粉飾決算

まずはWHを通じて米国内に東芝のABWRを売ろうということで、その東芝にとって海外案件第1号として、米NINA社が進めるサウス・テキサス・プロジェクトの3、4号機の設計・調達・建設までの一括受注に09年に成功した。

しかし折からのシェールガス・ブームの高まりもあって採算性に疑念が生じていたところへ3・11が起きて、当局による規制強化、米国内大手電力の追加出資打切り、NINA社の資産評価切り下げなどが相次いで、プロジェクト自体が立ち行かなくなってきた。

諦めるわけに行かない東芝は、新たな出資者の募集に駆け回り、その原発の周辺に電力需要があるのだということを説得するために周辺の液化天然ガスやシェールガス基地のテコいれにまで手を出すという阿修羅のごとき働きをしたが、結局、NINA社の資産評価切り下げを受けて14年3月決算にその1件だけで310億円、原子力事業全体ではそれを含めて600億円の評価損を計上した。

それは表沙汰にせざるを得なかったが、そんな原子力でのちょっとした失敗があっても東芝自体は元気旺盛だということを示したかったのだろう、この決算は「一見すると好調そのもの」で前期比47%の増益という驚異的な伸び。「しかも事前の会社側の予想数字2900億円とピタリと一致しており、何ら問題がないように見える」と、当時、何も知らされていないダイヤモンド誌の記者は書いている(14年5月9日号)。

そりゃあそうでしょう、「何ら問題がないように見える」ようにするために粉飾して、どうせ数字を改竄するならピタリと予想数字と同じにする方が思い切りがいいと判断したのだろうから。

この東芝騒動の最中に、原発超大国の国営原子炉メーカーのアレバが事実上経営破綻し、それを織り込んでフランス政府は7月22日、現在は75%を占める原発依存度を2025年までに50%に引き下げ再生可能エネに置き換える法案を成立させた。

日本がまだ原子力ルネッサンスの破れた夢にしがみついて泥沼のドタバタ劇を演じている間に、少なくとも先進国世界は急速かつ断固として脱原発に向かっていく。

※高野孟氏のメルマガ元原稿では、このほか、東芝と経団連、「原子力ムラ」の関係についても解説しています。構成上の都合により本記事では割愛いたしました(MONEY VOICE編集部)

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高野孟のTHE JOURNAL』(2015年7月27日号)より一部抜粋・再構成
※見出しと太字はMONEY VOICE編集部による

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