これまで見たことが無い「革新的な機能」とは?
そうしたAIとブロックチェーンを融合させ、AIが走るブロックチェーンのシステムを構築すると、これまでにないような機能が実現できるとされている。列挙すると次のようになる。
<1:データベースの解析>
基本的にブロックチェーンとは、ネット空間に無数に存在する分散台帳に、ブロック化した暗号のデータを書き込み管理するための技術である。つまり、分散型データベースを構築することが、ブロックチェーンのもっとも重要な特徴である。
一方AIは、膨大なデータベースを高速で解析し、瞬時に回答を得ることが可能となる。つまり、ブロックチェーンにAIを実装すると、ブロックチェーンが管理している膨大なデータベースを立ちどころに解析してくれる。
例えばこのようなシステムを活用すると、モニタリングした個人の健康データから発病する病気の種類とその時期を予想したり、また、あらゆる患者の膨大な病歴のデータベースを解析し、病気の適切な診断を下すと同時に、その患者にもっとも合った処方箋も作成してくれる。
さらに、スマートコントラクトを実装する再生可能エネルギーのネットワークでは、ブロックチェーンによって自家発電を行っている各世帯の電力の需給を管理しているが、過去のデータをAIが分析し、そのネットワークにおける将来の電力需給を予想してくれる。
<2:高いセキュリティの確保>
ブロックチェーンが広まったひとつの理由は、そのセキュリティの高さである。分散台帳に書き込まれているブロック化したデータはそれぞれのブロックが相互にリンクし、また高度に暗号化されている。だから、データのコピーや改ざんは極めて難しい。もともと高度に暗号化されているので改ざんは極めて難しいが、無理に改ざんしようとすると、その分散台帳はダメになってしまう。
だが、データが書き込まれる分散台帳はネット空間に無数に存在しているので、たとえひとつの台帳がダメになっても問題ない。まったく同じ内容のデータベースが無数に存在している。
また、大抵はAIが解析する対象となるデータは暗号化されていない。しかし、ブロックチェーンで管理されている暗号化されたデータを、暗号化されたままの状態で情報を読み取ることのできるAIが開発できれば、システムの安全性はさらに向上するはずだ。