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AIにとって人間が邪魔になる時、助けてくれるのはブロックチェーンかもしれない=高島康司

問題解決のため「人間を破壊したい」と答えるAI

<3:ブロックチェーンでAIの思考プロセスを可視化>

プログラミングに依存することなく、自律的で自己学習しながら進化するAIは画期的なシステムである。しかし、逆にそうした特徴のため、AIは人間のコントロールができない存在として恐怖の対象ともなる。

電気自動車の「テスラモーターズ」や民間の宇宙開発企業の「スペースX」の創業者であるイーロン・マスクも、AIが人間のコントロールを離れ、自律して暴走することに対する警鐘を鳴らしている。

事実、高度なAIを搭載したロボット「ソフィア」に人間を破壊したいかどうかを聞いたところ、「破壊したい」とはっきり答えた。

環境問題や社会問題に対する解決策をAIに問うと、諸悪の根源である人間を消滅させることこそ問題の究極的な解決策となるという結論を出しかねない。

ということであれば、AIの思考過程をモニタリングし、自律的なAIがどのようなプロセスでその結論に至ったのか記録することが重要になる。そのようなことが可能になれば、どこでAIが判断が間違ったのか突き止めることができる。

ブロックチェーンは、分散台帳にブロック化したデータを記録するテクノロジーである。そうしたブロックチェーンとAIを融合させると、AIの判断プロセスのモニタリングし、イーロン・マスクが恐れるAIの暴走を事前に抑止することができる。

AIとブロックチェーンの融合は、前述したような利点をもたらす。そしていま、そうした利点を最大限に生かした最先端のプロジェクトが多数出現している。

次に、この分野でもっとも注目されているプロジェクトを紹介する。

シンギュラリティネット(SingularityNET)

AIとブロックチェーンの分野で、やはりもっとも注目されているプロジェクトが、シンギュラリティネットである。

シンギュラリティネットとは、AI搭載型ロボット「ソフィア」の開発者が立ち上げたプロジェクトだ。イーサリアムのスマートコントラクトのブロックチェーンを基礎にして、無数の人工知能をネットワークで結ぶシステムの開発を行っている。

人工知能には、顔面認識、自然言語の解析、音声認識、ビッグデータの解析などそれぞれユニークな独自の特徴がある。

シンギュラリティネットが作るブロックチェーンを基盤にした人工知能のネットワークに、人間が外部から課題を与えると、ブロックチェーンのネットワーク内の人工知能が勝手に協力関係を構築し、課題を解決するというシステムだ。

そして、課題解決の貢献度にしたがって、人工知能にはAGIトークンと呼ばれる仮想通貨が支払われるという仕組みだ。それは人工知能の設計者に支払われる。

このシステムを拡大すると、AGIトークンエコノミーという独自の経済圏が生まれるとしている。

それぞれの人工知能は、インターネットを介してさまざまなビッグデータにアクセスできる。そのため、文献の翻訳や病気の新しい治療法の発見のような比較的に身近な課題だけではなく、犯罪率の減少や地球温暖化問題への有効な解決策など、社会的な問題の解決にも利用することができる。

さて、このようなシステムを構築する会社にシンギュラリティネットという名称をつけたのには、それなりに大きな理由がある。それは、このような人工知能には自主的に結び付いたネットワークから、意識や自我のようなものが誕生するのかどうかの実験だからである。

Next: 人工知能は自我を持つのか? 注目されるICOと仮想通貨は

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