Netflix、Spotifyほか大手が利用して大絶賛! 決済サービスAdyenがついに上場=シバタナオキ

また1社、注目の海外企業が上場しました。いまさら感のある決済サービス事業で、FacebookやSpotifyほか大手が利用して急成長する「Adyen」のビジネスモデルとその強さを解説します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年7月31日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

なぜ大企業を引きつける? 古くて新しい決済サービスの魅力とは

オランダのIPO案件に注目

最近は海外のIPO案件を多数記事にしている気もしますが、今回も海外のIPO案件のご紹介です。

今日の記事は、FacebookやSpotifyも利用する「Adyen」という決済サービスのビジネスモデルの詳細を明らかにしたいと思います。

Adyenは「アデェィン」と読み、Start over again(またゼロから始める)という意味です。この社名の由来は、創業者達が以前一度、決済型のサービスを構築し売却した後に、再度似たようなスタートアップを始めたことに由来すると言われています。
※参考:Adyenの上場申請書(PDFファイル)

なお、Adyenはオランダの会社であるため、決算資料は全てユーロ(€)で記載されています。この記事では1ユーロ=130円という設定で、日本円での概算表記をつけていきます。

大企業がこぞって使う決済サービス

今さら新しい決済サービスが必要なのかと思った読者の方も多いかもしれないので、始めにAdyenの顧客リストを見てみましょう。

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冒頭でも書いた通り、Facebook、Spotifyだけではなく、UberやNetflixでも利用されている決済サービスです。

このリストを見ると、非常に大きなエンタープライズ系にも利用されていて、大企業に向けに最適化されているサービスだということがお分かり頂けると思います。

なお、以前にも何度か書いたことがありますが、eBayとPayPalが分離された後、eBayは現時点ではプライマリー決済手段がPayPalになっていますが、今後はeBayのプライマリー決済手段がAdyenになるということが既に発表されています。

目論見書の中に以下のような数字が載っていました。

上位10顧客が全取扱高(全売上)に占める割合: 39%(33%)
上位120顧客が全取扱高(全売上)に占める割合: 83%(69%)
2017年の顧客数: 3,401社(vs 4,510社 2016年)
2017年の月間€1M(約1億3,000万円)以上の取扱高の顧客数: 478社(vs 336社 2016年)

この数字から分かる通り、Adyenは、取扱高や売上に占める大企業の割合が非常に大きいサービスです。

2016年から2017年にかけて、顧客数が1,000社以上減っているにも関わらず、月間€1M(約1億3,000万円)以上の取扱高を誇る顧客数が増えているという点からも、このサービスが大きなエンタープライズに受け入れられやすいという点が読み取れます。

売上・営業利益:経営は健全そのもの

売上営業利益を見ていきたいと思います。

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2018年1月から3月の四半期で取扱高が€33.2B(約4兆3,160億円)、トランザクション件数が12億件となっています

同四半期でグロス売上が€316M(約411億円)、Net売上が€74.4M(約96.7億円)、EBITDAが€34.1M(約44.3億円)でした。

テイクレートは0.95%となっていますが、EBITDA利益率は10.8%、そしてこの表からわかる通り、2015年からずっと黒字で経営されている会社です。

利益率が高いだけではなく、表の一番右にある年平均成長率を見ると取扱高で83.4%、トランザクション件数で102.8%、Net売上が48.9%と、とてつもないスピードで成長していることが読み取れます。

地域別の売上を見てみましょう。

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地域別で見るとヨーロッパが最も大きいセグメントで、全体の半分以上を占めます。次に大きいのが北米、その次に南米となりますが、最も成長率が高いのはアジアです。

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費用を見ると、内訳としては人件費とその他の販管費が大きくなっており、PLとしては非常にシンプルな構成になっていると言えるでしょう。

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キャッシュフローの状況を見ても、本業からキャッシュを稼いでいる以外、大きな投資活動もなく、毎年€170M(約221億円)以上がコンスタントに生み出されている、非常に力強いビジネスだと言えます。

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こちらが貸借対照表になりますが、現金相当物だけで€1.18B(約1,530億円)を有しており、それに対して€872M(約1,134億円)分の短期負債がありますので、ネットで約€300M(約390億円)分の現金相当物を保有していることになります。

大きな借入金もなく、こちらの貸借対照表も非常に健全なものだと言えるでしょう。

Next: なぜ大企業を引きつけるのか? adyenのユニークなサービスとは

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