トレードの7割以上がボットと人工知能によるもの
スプーフィング(spoofing)に使われるのは、主にボット(bot)と呼ばれる短期市場で機械的に売買を行う自動売買トレーダーです。
今日、ボットは株式市場だけに限定されておらず、FX市場や、仮想通貨市場でも広く普及しています。
今年1月に起きたビットコインの大暴落も、このボットによって引き起こされたのです。仮想通貨は、法的に金融商品として認められていないので、規制もゆるく、まさにボットトレーダーにとっては天国です。
わずかな刺激でもボラティリティが大きくなるのは、これらの金融市場を主に支配しているのが、自動売買トレーダーと高速アルゴリズムだからです。
サラオの犯行が行われた2010年の段階で、すでにトレードの70%が完全に自動化されていました。
主役はロボットなのに、人間アナリストの意見を聞く投資家たち
分かっている範囲内でも、1987年のブラックマンデーから、今年2月の大暴落まで、大規模なフラッシュ・クラッシュの主犯は、すべてボットによるものです。
現在、市場の中心的なプレーヤーは、ボットとAIトレーダーです。
にもかかわらず、証券会社のアナリストの出す株価予想に目を皿のようにしている投資家が大勢いるのですから、なんという悲劇なのでしょう。
(ボットが仕掛けるフラッシュ・クラッシュの手口については、メルマガ第243号パート1~パート3「株式市場、FX市場、暗号通貨市場は、すでにボット(bot)と人工知能(AI)に支配されている」にて詳細に解説しています。→購読する)
ファンダメンタルやテクニカルは役に立たない
投資の古典的な考え方は、「市場と対話し、分からないことは市場に訊く」ということでした。
Amazonが過去最高の四半期決算を発表しようとしていることが広く知られている、あるいは予期されているとすれば、その株式はおそらく動意づいており、上昇のエネルギーを溜めこんでいることが、取引高や小刻みに微妙な値動き繰り返す「持ち合い状態」などから、確信的に予想できた時代ーつまり、ファンダメンタルをベースとしてテクニカルが通用した牧歌的な時代は、もう二度とやってこないのです。