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シンゾウ・ドナルドの仲とは何だったのか。対米貿易摩擦が日本経済にとどめを刺す=斎藤満

日本の景気圧迫にも

この日米貿易摩擦は、日本の景気にも負担となります。今度は数量ベースの数字をチェックしてみましょう。

7月の輸出数量は前年比0.8%増に減速し、輸入数量は4.1%増に回復しています。前年比で見た「外需」は成長にマイナス寄与となります。

次に限界的な景気への影響を見るうえで、これを日銀の実質輸出入で見てみます。

7月の実質輸出は前月比0.3%と、わずかながら増加となりましたが、実質輸入が前月比4.1%の大幅増となったので、前月比でも外需は成長にネガティブとなりました。

さらに、7月の水準を4-6月の水準と対比してみると、実質輸出は4-6月に比べて1.5%低く、実質輸入は1.3%上回っています。このままでは7-9月の外需は成長に明らかなマイナス寄与となります。

日本も米中貿易戦争の余波を避けられない

自動車業界は米国との摩擦を事前に察知し、対米輸出を春に前倒しで行っていたので、今回の調整は織り込み済みの面もあります。

しかし、自動車の自主規制努力に米国産原油の輸入を加味してもなお、月に5000億円、年間6兆円レベルの対米黒字が残り、さらなる対応を求められます

しかも、米国は中国とも貿易戦争を進めていて、いずれ中国経済も減速を余儀なくされ、それがまた日本やアジア諸国の輸出を冷やすことになります。

当初より懸念された米国の保護貿易主義、通商摩擦が、いよいよ具体的な形で経済に影響し始めようとしています。少なくともここまでは「日米蜜月」は摩擦回避には役立っていません。

Next: 日米通商交渉はかなり難航する? トランプは何に焦っているのか

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