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景気の下振れリスクについて言及した日銀に、打つ手はあるのか?=高梨彰

黒田東彦日銀総裁は「リスクが増せば政策対応」をすると言っています。しかし、いまの日銀にどのような政策対応の手段が残されているでしょうか(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2018年11月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

国債利回りが低下したとき、いまの日銀が出せる「手札」とは?

日銀が「下振れリスク」を懸念、国債は「暴騰」するか

景気も物価も下振れリスクがあると、日銀は言ってきました。金融政策決定会合後の会見では、黒田東彦日銀総裁は「リスク増せば政策対応」と述べています。問題は…、下振れリスクが顕在化したときに政策対応が可能かです。

端的に言えば、国債利回りが景気鈍化を見込んで勝手に低下したときに打つ手はあるのかどうか、となります。

景気が下振れしたとき、一般的に株価は下がり国債は買われ金利が低下します。景気下振れ時、日銀による金融政策対応は金利を下げるか市中のおカネを増やすか、はたまた株などの買入れ額を増やすか、などが考えられます。

ところで、現在日銀は「イールドカーブコントロール」の下で、10年国債利回りの水準がゼロ%を中心として±0.2%の水準に留まるように調節しています。仮に世界的な景気後退懸念が発生し、米国債利回りが低下したらどうなるでしょうか。

日本国債利回りも十中八九低下します。場合によっては再び利回りがマイナスになるかもしれません。

そして、10年国債利回りが-0.2%まで下がってしまった場合、日銀の言う下振れリスクが顕在化しているリスクはかなり高まるはずです。

Next: 日銀の下振れリスクに潜む、本当のリスクとは…

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