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日本に背を向ける韓国、来たるべき経済危機をどう克服するのか?=勝又壽良

民族主義「86世代」が支配

文在寅政権が、日韓問題の基本に歴史問題を据えていることは疑いありません。なぜここまで、解決済みの問題までひっくり返して、過去にこだわるのでしょうか。

それは、「86世代」という「親中朝・反日米」の思潮が、韓国の指導層に深く浸透している結果でしょう。政府・国会・司法と韓国を動かしている層が、この「86世代」によって占められているのです。

「86世代」とは、1960年代生まれ、80年代に学生生活を送った「革命礼賛派」です。北朝鮮の「主体思想」(チュチェ思想)を信奉する民族主義者の集団と言えます。

1. 南北朝鮮の統一
2. 日韓併合の無効
3. 上海の抗日臨時政府(形ばかりで実態なし)の継承
という象徴的な動きをしています。

具体的には、北朝鮮へ接近し、反日活動を積極的に行なう。そして、1919年の大韓民国臨時政府を韓国の起源にしています。日本流に言えば、「右翼的」行動であり、「革新的」政権とは言いがたい側面を持っています。最大の特色は、「主体思想」に染まっていることでしょう。

日本が現在、次のような問題を持出して米国を糾弾したと仮定します。原爆投下は無差別攻撃で国際法違反である。よって、米国は日本に賠償金を払え。最高裁判所がこういう判決を出したとしましょう。日米関係は悪化するに決まっています。米国は、改めて日本の開戦責任の追求と賠償を求めます。日本は、無差別攻撃は国際法違反だと主張する。収拾が尽きません。だが、サンフランシスコ講話条約(1951年)で決着がついているのです。日本の最高裁は、原爆被害の訴訟を取り上げないでしょう。

韓国が現在、言い募っている問題を日本の例に喩えれば、前記のような話題になると思います。過去の解決済み問題をわざわざ引っ張り出し、日韓の憎悪感を増幅させることが、外交政策としてメリットがあるのか、という問題です。

韓国にとっても実質的メリットはありません。ますます日本の反感を買うだけです。韓国政府はそれを承知で、日本に背を向けることをあえてやっている。その動機は何か、です。

「反日」で国内求心力高める

韓国政府が、日韓関係悪化を承知で行なっているとすれば、理由は韓国の内政問題です。韓国の政治情勢が、理由もなく「反日政策」を歓迎する状況にあります。保守党は朴槿恵政権の弾劾による追放で、完全に力を失いました。「86世代」はここを狙って、反日政策を矢継ぎ早に打ち出しているのです。

韓国の保守派は、反日であるものの日本との関係を重視しています。日韓関係悪化が、韓国経済にとって打撃になることを知っているからです。

だが、革新派を支えているのは、労働組合と市民団体です。経済的な感覚はゼロの集団です。日韓関係がいくら悪化しようと、彼らの懐に響くことはありません。だから、「主体思想」に則って、民族主義を100%開花させ、日本への鬱憤ばらしを「楽しん」でいるのです。

文政権の最大の泣き所は、反企業主義を掲げた経済政策の失敗です。労働組合や市民団体に歓迎されるような経済政策が、韓国経済を活性化させるはずがありません。反企業主義とは何でしょうか。具体的には、企業活動への政府規強化です。大企業の法人税率を引き上げました。反企業主義者にとっては大喜びする政策です。さらに、最低賃金の大幅引き上げを行い、企業の労働者搾取を防いで、労働者の生活水準を引き上げるという目的です。今年の最低賃金引き上げ率は16.4%。来年は、さらに10.9%の引上を決定しています。

今年と来年で、最低賃金引き上げ率は合計で約3割にもなります。年率の経済成長率が3%未満の韓国経済が、2年間で30%の最低賃金引き上げに耐えられる。韓国政府が、こう分析した点に呆れるほかありません

経済成長率3%未満の意味は、韓国全体の生産性上昇が3%未満ということです。この経済で、年間10%以上の最低賃金引き上げを吸収できるはずがありません。ただの「経済音痴」ということでは済まされず、韓国経済の成長軌道を破壊させるほどの暴挙です。

Next: どう考えても異常な政策。韓国経済は10月から不況局面へ

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