10月から不況局面へ落ち込む
案の定、韓国経済は今年10月から不況局面へ突入しました。韓国統計庁から正式発表はありません。だが、景気動向指数の一致指標(生産や小売)は、今年4月から連続6ヶ月間下降し続けました。
ルールに従えば、10月から不況入りです。文政権のことです。ルールを変えて、「今も好況期である」と言い出す懸念はあります。
もしそうなったら、この政権は再び「ロウソク・デモ」で退場させなければならない、という議論が出てくるかもしれません。それほど、文政権はこと経済問題に対して、「黒を白」と言いくるめる術に長けています。その例は、最低賃金の大幅引き上げが失業率を高めている、という事実を拒否し続けているのです。
文政権は、「所得主導成長」を御旗に掲げています。所得を引き上げれば、それによって個人消費が活発化して、経済が好循環を描くと主張しています。この主張は、既述の通り10月から不況局面へ突入で否定されました。今年の経済成長率は、昨年の3.06%より低下して、2.7%程度が見込まれています。
来年の経済成長率はさらに落ち込みます。最低賃金の引き上げ幅が、10.9%に決まっているからです。韓国メディアは、この最賃引き上げ幅の圧縮、ないし棚上げを主張していますが、全く取り上げる様子もなく、さらに「所得主導成長」を強力に推進すると頑張っています。
それは、財政支出を拡大して雇用助成金を増やすというのです。最低賃金を引き上げ過ぎて景気を冷やす一方、財政支出で景気冷却分をカバーする。異常な経済政策です。
中国人民元安でウォンも急落
ここで、韓国経済が中国経済の影響を強く受ける事実を取り上げたいと思います。
中国経済は、米中貿易戦争の渦中にあります。11月末の米中首脳会談の結果次第ですが、「一時休戦」が精一杯という見方が有力です。解決するには、中国が米国の要求を完全に受入れることが前提になります。その可能性はゼロでしょう。中国が受入れたら、習近平氏が弱腰であるとして国内で非難の矢面に立ちます。
中国経済が、さらに一層、切羽詰まった状況に追い込まれない限り、「白旗」を上げないでしょう。中国経済はガタガタになってゆきます。その場合、人民元が1ドル=7元を割り込むと観測されています。この点が、韓国にとって困った事態になります――
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通貨危機で日本へ駆け込む?
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『勝又壽良の経済時評』(2018年11月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。