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杭打ち1次下請けの日立ハイテクが否定する「禁断の丸投げ」疑惑=近藤駿介

「一括下請負」による丸投げ発覚なら営業停止処分も?

また、「建設工事の発注者が受注者となる建設業者を選定するに当たっては、過去の施工実績、施工能力、経営管理能力、資力、社会的信用等様々な角度から当該建設業者の評価をする」(平成13年建設省建設経済局長 通達)ことが前提とされていますから、発注者である三井不動産グループや元請である三井住友建設がなぜ「技術的な知見」を持たない日立ハイテクノロジーズ社を1次下請けに選定したのかにも疑問が残ります。

自ら「技術的な知見」を持っていないことを認め、「問題があった場合の責任は2次下請けが負うとの契約も結んでいた」会社を1次下請けに選定するということは、発注者も元請会社も実質的に「一括下請負」が行われることを黙認していたということになってしまいます。

「一括下請負は、発注者が建設業者に寄せた信頼を裏切る行為であることから、国土交通省としては、原則として営業停止処分により厳正に対処」「一括下請負は、下請工事の注文者だけでなく下請負人も監督処分(営業停止)の対象になります」というように、国土交通省は「一括下請負」に対して原則営業停止処分という厳しい対応を行う方針を示しています。

そのため、日立ハイテクノロジーズ社が今回の工事に「実質的に関与」していたのかも大きな焦点になりそうです。

日立ハイテクノロジーズ<8036> 日足(SBI証券提供)

日立ハイテクノロジーズ<8036> 日足(SBI証券提供)

これまで表舞台に顔を出してこなかった日立ハイテクノロジーズ社が登場したことで、マンション傾斜問題は、杭打ち技術担当者の個人的な問題から、発注者と元請会社を含む施工体制のあり方、業界の問題点へと広がりを見せる可能性が高くなったように思えます。

今回の問題を受け、旭化成建材が施工した工事の調査が行われていますが、もし今回のような「技術的な知見」を持たない業者を下請け業者にするという実質「一括下請負」が横行していたとしたら、問題は旭化成建材に留まらない可能性が高いように思います。

旭化成建材が施工した工事の洗い出しをすると同時に、日立ハイテクノロジーズ社が下請けに名を連ねた工事も洗い出す必要がありそうです。

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近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2015年10月27日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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