ファーウェイ・ショックは日本にも波及
今回の事件がきわめて大きな問題になりつつある理由は、日本など別の国にも影響が及んでいることです。
米国は国内で中国通信機器の締め出しを図るとともに、日本を含む同盟国にファーウェイ製品の使用中止を要請しました。
これを受けて、日本政府は早速、ZTEとファーウェイの製品を使わないことを表明しました。さらに、日本の企業にも使用しないことを要請することにしました。
当初、日本政府は「民間企業に使用禁止を強制するわけにはいかない」としていましたが、米国の圧力は相当なものだったようです。すぐに前言撤回です。
とにかく、米国は安全保障や知的財産権保護を名目としたハイテク技術をめぐる覇権争いで負けるわけにはいきません。この技術は米国が常にリーダーだったわけです。この技術で中国に負けるということは、世界覇権を中国に譲ることを意味します。
このように、今回の事件の波紋は今後、さらに広がっていくことは必至です。
中国が米国を真に恐れ始めた…
中国外務省の耿爽・副報道局長は今回の孟氏の逮捕を「重大な人権侵害だ」と批判し、「拘束理由を明確にするよう求める」としました。しかし、対抗措置などには触れませんでした。これこそが、中国が米国を真に恐れ始めたことを意味します。
これまでは、貿易交渉で結論が出なかったとき、米国の制裁関税に対して、中国も報復関税を課してきました。しかし、いまはその力も余力もありません。このままいけば、中国が疲弊して、崩れていくことは不可避です。
その状況の中で、今回の事件が起きました。通商協議の期限を来年2月末に控える中、火種がくすぶり続けるのは確実です。これは大変なことになったものです。
カナダ当局に逮捕された孟CFOは、巨額の保証金を積んで、保釈されました。しかし、自宅から出ることができません。いずれ、米国への送還に関する裁判が開かれるでしょう。
スパイ行為がいずれ明らかになる
ファーウェイは制裁違反を否定してきましたが、これも難しいでしょう。それ以上に、これまでZTEやファーウェイが行ってきたスパイ行為がいずれ明らかになるでしょう。そうなると、両社とも経営を続けることはできなくなります。
米国はすでにその証拠をつかんでいます。米国の潜水艦の位置を中国が把握している、あるいは戦闘機の前に突然、中国機が飛び出してくる。
米国の軍事訓練のスケジュールを知っていないと、できないことばかりです。これで、米国が激怒し、調べてみるといろいろわかってきたわけです。
軍事技術が応用されたのが、今のインターネットであり、ハイテク技術です。これで米国が中国の遅れを取るわけにはいかないのです。ですので、中国をつぶすしかないわけです。