fbpx

震え上がる習近平、ファーウェイ事件でわかった米国「中国つぶし」の本気度=江守哲

理由は「中国企業だから」

今回の逮捕は、香港を拠点とするスカイコム・テックとファーウェイの関係が背景にあります。スカイコムは想定以上に華為と深いつながりがあったようです。

スカイコムは13年1月、禁輸対象の米ヒューレット・パッカードのコンピューター機器をイランの携帯電話大手に売却しようと試みていました。

スカイコムが香港の会社登記担当当局に提出した記録によると、孟氏は08年2月から09年4月まで同社の取締役を務めました。また、同社の複数の元幹部と現幹部も華為と関係があるとみられています。

孟氏が逮捕されたことの背景が、単に米国の対イラン制裁に違反したことに対するものであれば、大きな問題ではありません(実際にはそれだけでも十分に違反行為ではありますが)。

しかし、ファーウェイは中国企業です。ここが実に大きなポイントになってくるわけです。

米国の理解では、「中国の侵害は時に、明確に国家の支援を受けて、民間企業を通じて行われる」とされています。

今回の逮捕について、専門家は「トランプ政権の中国に対する地政学戦略の一環」とし、「米中貿易交渉の進展が妨げられる大きなリスクがある」と指摘しています。今回の事件を受けて、中国側は警戒感をより強める可能性あります。特に対米関係はこれまで以上に複雑化することになりそうです。

ファーウェイ逮捕に「政治介入はなかった」?

カナダのトルドー首相は、ファーウェイの孟CFOがバンクーバーで逮捕されたことについて、「政治介入はなかった」としています。

しかし、逮捕自体が米国の指示に基づくものであり、すべてはトランプ政権の指示です。相当の思惑が入りこんでいます。

今回の孟氏の逮捕で、米国は有力な「交渉カード」を手にしたことだけは確かです。

ファーウェイがZTEの二の舞いに

米国は、表向きは貿易協議と今回の事件を切り離し、安全保障上の懸念から中国通信機器大手への監視を続けるというでしょう。しかし、中国つぶしを政権の最重要政策課題としています。今後、ファーウェイもZTEのように、相当厳しい仕打ちを受けるでしょう。

米国は今年4月に、ZTEに制裁を発動しました。現在は解除されていますが、ZTEは収益が大きく落ち込み、さらに米国に巨額の罰金を支払わされました。

一企業をつぶすことなど、米国には簡単なことです。重要なことは、生かさず殺さず、中国が疲弊していくことが肝要です。

今回の事件は、孟氏の容疑がZTEと同様に、対イラン禁輸措置絡みです。これが、米国が明確にしていた政策ですので、中国サイドも文句が言えません。

いずれ、ファーウェイも制裁の対象となり、大変な金額の罰金を支払うなど、大きな負担を強いられることになるでしょう。

Next: ファーウェイ・ショックは日本にも波及。中国も本気で恐れ始めた…

1 2 3 4 5
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー