米国の逆鱗に触れた中国
今回の事件は、米国のハイテク企業にも大きな悪影響が出ます。当然、収益が低下し、株価にも下げ圧力が強まります。
今回、米国がファーウェイ創業者の任正非氏の娘で、後継者と目されてきた孟氏の身柄を押さえることができれば、米国は有力な「交渉カード」を手にすることになり、協議を優位に進めることができます。
しかし、中国のカナダ人の拘束は、米国を怒らせてしまいました。
米国の圧力が本物であることを恐怖心を抱いたのか、中国は習近平国家主席肝煎りの産業政策である「中国製造2025」戦略推進の手綱を緩めつつあるようです。
15年に発表された中国製造2025戦略は、ロボット工学、航空宇宙、新エネルギー車などの重点分野の競争力を引き上げ、50年までに世界的なスーパーパワーになる目標達成に向けた中核的な戦略です。
この戦略に基づき、中国政府は技術獲得を目的にあからさまな助成を行ってきました。これに対して、欧米は警戒感を抱いてきたわけです。
これまで中国国務院は16年の地方政府に対するガイダンスで、中国製造2025戦略を推進した地方政府を優先的に支援すると明記していまし。しかし今回、新たなガイダンスからは、この戦略に関する文言が削除されたということです。
これ以上、積極的にこの戦略を推し進めると、米国にさらに圧力をかけられ、中国の中核企業が疲弊して、国力が損なわれると考えたのでしょう。
いずれにしても、今回の孟氏逮捕をきっかけに、「米中ハイテク戦争」はさらに厳しいものになっていきます。そして、中国は極端に疲弊していくでしょう。これまで米国ににらまれた国の経済はすべて疲弊させられています。
これを最も懸念しているのは、ほかでもない同盟国の日本です。
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本記事は『江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』2018年12月14日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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『江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』(2018年12月14日号)より一部抜粋
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