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【展望】郵政3社は人気一服。好需給背景に好決算銘柄を再評価の流れ=山本伸一

11月9日週で決算も一巡、選別物色の局面へ

さて、様々な反応を見せた決算発表も11月9日週でほぼ一巡。開示数減少とともに今後は決算銘柄に対する短期売買も限られてきますが、決算発表が出揃うことで、業績の悪いものを売って、業績の良いものに乗り換える「選別物色」が進む局面となります。

これまでの決算発表を見る限り、第1Q、第2Qを合わせた上期の終了時点で、通期予想に対する進捗率は高いものの、業績予想の上方修正などを行わず、通期予想を据え置く企業が多いように思えます。

通常、3月期決算の企業は5月中旬までに前期の最終決算と今期の最初の業績予想を発表していますが、この業績予想は企業が発表する予想のほかに、証券会社などの格付け会社や会社四季報、ロイターやブルームバーグなどのアナリストが予想する数字もあり、株式市場で会社予想以外のアナリスト予想の平均値が「市場コンセンサス」としてあります。

例年では会社側が期初に掲げる通期予想は市場コンセンサスよりも保守的に出すことの方が多いため、この上半期が終わった時点で市場コンセンサスよりも通期予想が上ブレる銘柄が多くなるのですが、今年は為替相場の安定やROE重視の姿勢から、例年よりも期初での会社予想が強気の企業が多く、上方修正はサプライズとして受け止められるものの、下方修正などでマイナスインパクトで売られる銘柄も目立っていると思われます。

市場の反応に明暗、注目企業決算

例えば鉄鋼セクターでは、新日鐵住金<5401>が発表した今期経常利益の修正予想は、前年比マイナス45%の2500億円で、事前の市場予想や観測記事の予想をさらに下回るものでした。自動車でもホンダ<7267>は第2四半期決算は累計で増収増益で着地したものの、通期予想は連結売上のみを引き上げただけで単独では下方修正を余儀なくされて株は売られました。

トヨタ<7203>も上期の経常益は11%増で着地し過去最高益を更新しましたが、通期予想は据え置いたことから株価への影響はほとんど無かったと言っていいでしょう。

そんな状況だからこそ、今回の決算で2016年3月期通期の予想を上方修正した銘柄に買いが集まっています。米アップルや中国のスマートフォンの需要減から7月に業績を下方修正したファナック<6954>は一転、2016年3月期の連結純利益を小幅ながら上方修正して、ポジティブサプライズから買われましたし、TDK<6762>、東海カーボン<5301>なども上方修正で買われた銘柄です。

しかし、村田製作所<6981>などが通期予想を増額し前週も引き続き物色されたのに対して、京セラ<6971>は連結純利益が従来予想の1200億円から前期比27%減の850億円の減益となる下方修正を発表して売られた経緯があります。

物色のポイントは「通期見通し」と「市場コンセンサス」の乖離

11月9日週からは、2016年度3月期の第2四半期決算発表もいよいよ最終盤へ進んでいきます。11月9日~11月13日には1営業日当たり平均で240社の決算発表が予定されています。郵政3社の資金集中も金曜日の利益確定で一服。郵政3社を初値買いや追撃買いした投資家も、利益を確定させて個別に銘柄を物色する行動に移ってきています。

前週の株式市場では需給悪化から買われなかった銘柄も、需給が改善することにより、決算を再評価して買われるという側面もあるでしょう。

そこで今回は、今回の決算発表シーズンで申し分ない好内容を明らかにした「超好業績株」に注目してみてください。

物色対象としては、最高益更新などの成長企業が基本路線となります。最高益更新でまだ業績が株価に十分に反映されていない評価余地がある銘柄であれば最も魅力的ですが、株価が高値圏にあったとしても、今後も上昇し続ける余地が残されている銘柄であれば、まだ買える余地は残されています。

たとえ減益、下方修正銘柄でも、11月5日(木)引け後に第2四半期決算で経常利益以下で減益、通期業績予想の下方修正を発表したミネベア<6479>は売り直される場面があったものの、事前に大きく株価水準を落としていたことからアク抜けと見た見直し買いを集めることもありますし、逆に11月5日(木)引け後に増益着地を果たしたSUMCO<3436>は通期業績予想が市場コンセンサスに届かなかったことから投げ売りを誘ったように、通期見通しと市場コンセンサスとの乖離がキーポイントになるでしょう。

すでに決算発表済みの村田製作所<6981>や、米ナスダック上場企業を買収といった材料もあるTDK<6762>、11月5日(木)引け後に決算発表を行ったテルモ<4543>など、事前発表の上方修正を上回る着地となった銘柄なども引き続きマークしていく必要がありそうです。

決算発表後も実態評価から選別物色を取り込み、上昇継続が見込まれる決算評価の高い銘柄を狙っていきましょう。

10月米雇用統計結果(11/6 22:30発表)

・非農業部門雇用者数:27.1万人(市場予想:18万人)
・失業率:5.0%(市場予想:5.1%)
注目の米雇用統計は事前の予想を大きく上回る好結果に。12月利上げ観測の高まりからドル高円安が急速に進行しました。

米ドル/円 5分足 週末終値:123.13-123.19円(SBI証券提供)

米ドル/円 5分足 週末終値:123.13-123.19円(SBI証券提供)

NYダウ 5分足 週末終値:17,910.33ドル(SBI証券提供)

NYダウ 5分足 週末終値:17,910.33ドル(SBI証券提供)

大証日経先物期近 5分足 週末終値:19,430.00円(SBI証券提供)

大証日経先物期近 5分足 週末終値:19,430.00円(SBI証券提供)

【関連】買われるか?売られるか?注目の「郵政関連銘柄」特集=櫻井英明

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プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』2015年11月6日号より一部抜粋
※SBI証券提供チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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