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次の政府転覆はベネズエラ?米国主導で現政権を倒しても、決して良くならない事実=矢口新

いつも「転覆させた側」の見方で報道される

政府の転覆が起きた時、我々は「転覆させた側」の報道で知るので、正義が悪を成敗したと受け取る。

もしかすると、アフガニスタンのタリバン政権や、イラクのフセイン大統領は本当に「悪」だったのかも知れない。ウクライナ、ジョージア、リビア、エジプトの親ロシア政権も、いずれも「悪」で、成敗する必要があったのかも知れない。

とはいえ、米国主導で悪を成敗した後のこれらの国々で、以前よりも良くなった国は1つもない

日本も「転覆させられた側」だが…

日本でも諸外国の介入により政府が転覆した例がある。明治維新だ。薩長には英国が付き、幕府には当初フランスが付いていた。

もしかすると、英国の報道では「封建的な幕府が悪」に、フランスの報道では「薩長は単なる反乱軍」とされていたかも知れない。

このことは、我々が知るタリバン政権や、イラクのフセイン大統領の報道も、何らかのバイアスがかかっていたことを示唆している。

明治維新の場合は、日本国土の一部割譲を要求したフランスの支援を、幕府が断り、江戸城を「無血開城」したことで、外国の干渉を最小限に留めることができた。明治政府は薩長が作ったので、徳川幕府は「悪」だったとされているが、少なくとも、その引き際では日本を救ったのだ。

結果的に、日本で諸外国が戦うことがなく、分裂することもなく、明治以降の発展に繋げることができた。薩長が旧幕臣に対して、殊更に報復的な政治をすることもなかった。

これは世界史的には奇跡的なことだ。

もしかすると、これは日本の国民性に根差しているのかも知れない。

インド将棋は西に向かってはチェスとなり、東に向かっては、中国、朝鮮を経て、日本将棋となったが、手に入れた相手の駒をそのまま使えるのは日本将棋だけだ。他の国では、相手を殲滅させる消耗戦で、最後には数を減らした味方の駒しか残らない。

その意味では、日本人の感覚で他国と接すると「何かが違う」ことになるかも知れない。私が知る限り、どこの国の人々も、分かり合える同じ人間なのだが。

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