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新紙幣の経済効果1.6兆円は大嘘、なぜ安倍政権はキャッシュレス化に逆行する発表をした?=斎藤満

新紙幣の発行を受け、一部のエコノミストから1兆6千億円前後のGDP押し上げ効果があるとの試算が提示されました。これはまったくのナンセンスです。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2019年4月12日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

本来は「偽造対策」のはずの新紙幣発行、それがなぜ今なのか?

GDP押し上げの嘘

新元号のご祝儀気分に便乗しようとの魂胆か、政府は2024年度から20年ぶりに新紙幣への切り替えを行う方針を示しました。

これを受けて、一部のエコノミストから1兆6千億円前後のGDP(国内総生産)押し上げ効果があるとの試算が提示されました。新紙幣の印刷に加えて、新紙幣用のATM(自動預け払い機)や自動販売機などの入れ替え需要が大きいようです。

しかし、これはまったくのナンセンスです。この紙幣切り替えは、金融機関や一部業者のコスト負担を余儀なくするだけで、日本経済には何ら付加価値をもたらしません

新1万円札が旧札より価値が大きくなるならともかく、図柄が変わるだけで、新旧入れ替わるだけで1万円は1万円です。ATMも自動販売機も、新旧入れ替わるだけで、新たな付加価値が付くわけでもありません

むしろ、機械の入れ替え時にサービスが停止でもすれば、マイナスの付加価値生産とさえなります。金融機関などにとっては、一部の機械メーカーと印刷関連業者に利益を奪われるだけで、「余計な事」でしかありません。これを大々的に取り上げるメディアの良識を疑います。

金融サービスの後退促進

おりしも、金融機関の収益は、日銀による異次元緩和の結果、利ザヤがとれず、運用が年々苦しくなり、大規模なリストラや経営統合なしでは生き残れないような危機に陥っています。

今後5年のうちに日銀が「出口」に向かい、また金利がプラスになって金融機関の収益環境が改善されれば良いですが、このままずるずると超低金利が続くと、金融機関は金融サービスの縮小を余儀なくされます。

すでにメガバンクでも有人店舗の削減を進め、預金者に不便をかけていますが、ATMの切り替えで何千億円もかけるなら、それを機にATMの削減を進める可能性があります。

つまり、新札への切り替えが金融機関の弱った収益力をさらに奪い、最後には預金者へのサービス縮小を余儀なくする面があり、国民生活の不便をもたらす施策となります。

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