キャッシュレス化に無理がある
<なぜ中国や韓国に比べて、日本ではキャッシュレス化が進まないのか>
まず、中国や韓国でキャッシュレス化が急スピードで拡大したのは、その背景として、彼らは自国の紙幣に偽造・偽札リスクが大きく、信用が置けないため、これを保有せずに決済できるシステムに飛びつきました。おりしも、技術的にもスマホなどでの決済・金融サービスが可能となったために、一気にこれが加速しました。
これに対し、日本では千円や5千円はともかく、1万円札においても偽札づくりが難しくなり、他の国に比べると紙幣への信頼度が極めて高く、国民はこれを疑わず、紙幣の保持にまったく抵抗がありません。
それだけに現金決済に不自由はなく、キャッシャレス化へのインセンティブが乏しい社会と言えます。それだけ安全な国とも言え、キャッシュレス化が進まない大きな理由になっています。
<現金決済とキャッシュレス化とではどちらのリスクが大きいか>
そして第2に、信頼できる紙幣に比べ、キャッシュレス化により大きなリスク、不安を持つ人が多いことです。
確かにスマホ決済などの利便性は高まりましたが、それに応じたセキュリティの確保ができていません。先にビットコインに投資した人が、ごっそりと北朝鮮のサイバー攻撃で資金を抜かれ、回収できずに大きな損失をこうむりました。ヒットコイン決済が便利でも、安全性が脅かされれば、これを使えません。
それだけでなく、個人情報、カード情報がビッグデータとして大きなビジネス・チャンスとなっていることもあり、ここへのサイバー攻撃が増えています。個人情報が抜かれることは日常茶飯事になりました。
クレジットカードの番号、暗証番号が盗まれて知らぬ間に他人に使われている事件も頻発しています。
スマホも利便性を高めるほど、セキュリティが低下する面があります。カードやスマホを経由して預金が抜かれ、あるいは知らぬ間に使われているというリスクに対して、これを保証する制度も、これを防備するシステムも整備されていません。
この状態でキャッシュレス化を進めると、今までにないサイバー犯罪に巻き込まれ、財産を失うリスクが高まります。