リクルート事件こそは「平成版・帝人事件」と捉えざるを得ない
堀江氏だけでなく、1988年のリクルート事件もそうだ。竹下内閣を瓦解させる大騒ぎをして当時の閣僚や財界人を何十人も調べ挙げて、有罪はわずか2人だった。
江副氏は、「広告その物がニュースだ」という新たな観点から、誰も気づかないビジネスモデルを構築した。既存のビジネスモデルの地平線の彼方に新たな世界を見据えて、結果的には今なお栄える大企業を築いたのだ。
こういう新たな挑戦児を既存勢力は嫌う。
イノベーションはジョセフ・シュンペーターが言ったように「創造的破壊」を伴うからだ。古い勢力は破壊を嫌うのだ。だから検察を動かして葬るのだ。彼が葬られた後も、彼の創業したビジネスモデルはますます栄えて、株価的にも超一流企業となっている。
リクルート事件こそ「平成版・帝人事件」である、と田原総一郎氏は書いている(田原総一郎著『正義の罠――リクルート事件と自民党、20年目の真実』小学館・2007年刊)。
「帝人事件」とは、1934年、何ら犯罪となる事実が存在しないにも関わらず、検察が客観的証拠を無視して苛烈な取り調べ(恐らく酷い拷問)と恣意的な判断によって背任・増収賄事件をデッチあげて起訴した事件であり、裁判の結果は全てが無罪となった。
前掲書の結びには、「私はリクルート事件こそが、平成版・帝人事件と捉えざるを得ない思いである」とある。ライブドアに比して遥かに巨額の粉飾を犯した旧長銀、山一証券、カネボウ、日興証券は、責任者が逮捕さえされていない。
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