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過度の懸念は後退へ。原油価格の低迷を織り込み始める株式市場=馬渕治好

原油価格に影響大、シェールガスを取り巻く状況は?

シェールガスについては、2012年12月23日付の当メールマガジン第78号でも述べましたが、再度解説します。

シェールガスは、既に多く報じられ、かなり有名になってしまいましたが、頁岩(けつがん)の層にある天然ガスを言います。頁岩は泥板岩とも呼ばれ、英語でシェール(shale)と言います。泥からできた堆積岩で、堅いのですが、横に薄く割れます。薄く割れた様子が、ちょうど本の紙のページ(頁)のようなので、「頁岩」の名前がつきました。

技術革新によって、この頁岩の層に、薬品を含めた水を送り込んで、地層内の割れ目に少しずつある天然ガス(シェールガス)を取り出せるようになりました。

シェールガスについては、米国産ばかりが話題になっていますが、米国だけではなく、様々な地域に存在します。

IEA(国際エネルギー機関)の推計によれば、シェールガスの埋蔵量が最も多いのは中国で、続いてアルゼンチンなどの南米であり、米国は第3位です(米国の埋蔵量は、中国のほぼ半分強)。また、メキシコ、欧州、アルジェリアなどの北アフリカなどにも、広く存在します。

しかし次のような理由から、生産拡大は米国が他国より有利な情勢です。

  1. 大量の水が必要なため、中国山間部や北アフリカなどでは水の確保が難しい。
  2. 枯渇すると次の場所に移って掘削するため、広大な土地があった方が有利で、欧州では難しい地域が多い。
  3. 土地所有権の調整が難しい国や環境規制が厳しい国がある。
  4. 米国では、ガス開発のベンチャーが多く、投資資金もつきやすい。

なお、シェールガスは、述べたように、シェールの地層に少しずつあるので、探索が難しく、しかも当初は有効な採掘方法がありませんでした。このため、シェールガスの採掘に最初取り組んだのは、ベンチャー企業ばかりで、大手エネルギー企業は手を出しませんでした。

当初のシェールのガス田では、生産コストが原油に換算して、1バレル当たり80ドル近辺であったと言われています。したがって、原油価格が下落した局面では、シェールガスを手掛ける、一部のベンチャー企業が立ちいかなくなりました。

そうした企業は大手エネルギー企業に買収され、大手企業は豊富な資金力を活用して、採掘の先端技術に投資を行ないました。結果として、買収されたガス田の生産コストが低下し、昨年の段階では、1バレルの生産コストが40ドルのガス田が現れた、と言われていました。

さらに今年、筆者が11月の米国出張で取材したところでは、1バレル20~25ドルのコストのガス田が出てきているとのことでした。こうした数値は、先般来日した、世界銀行の国際商品市況アナリストからも、同様のものを聞いています。

このように、米国のシェール業者は、生産コストの低減を大いに進めていますので、サウジアラビアが体力勝負に出ても、負けるのは米国ではなく、サウジアラビアの方ではないか、と考えています――


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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2015年12月20日号外)より一部抜粋
※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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