大穴:LINE Pay
大穴と言えるのがLINE<3938>です。知名度とダウンロード率では屈指の高さを誇りますが、銀行は設立準備中、ショッピングサイトはパッとしない状況です。何より、本業であまり収益を生んでいないので、資金力が限られます。
そこで直近で打ち出したのが、送金機能を利用した普及です。5月20日から、友だちに1,000円を無料でプレゼントできる「300億円祭り」を開催しています。受け取った人は、本人確認を済ませれば買い物に使うことができます。
これは、LINEならではの送金機能を利用して、1人でも多くの人にLINE Payを使ってもらう試みでしょう。とりあえず、使い方がわかるという点では効果がありそうです。しかし、もらった1,000円以外に使うためには、やはり何らかのメリットが必要になります。
日本のキャッシュレスの本質は「クレジットカード」
結局のところ、消費者にとってメリットとなるのはポイント還元率の高さではないでしょうか。これ以外に、わざわざスマートフォンを取り出して、アプリを開いて決済するメリットはあまり見いだせません。
そもそも、中国でQRコード決済が普及したのは、その環境によるところが大きいのです。
中国では多くの人がクレジットカードを持つことができず、また店舗側も読み取り端末を準備する余裕がありませんでした。一方で、現金は現金で偽札や盗難の可能性があり、不満が溜まっていたのです。
そこへスマートフォンが普及し、クレジットカードを持てなくてもキャッシュレス決済が可能になりました。店舗側もスマホひとつで導入でき、偽札や盗難の可能性もなくなったことから、あっという間に浸透したのです。
翻って、日本はどうでしょう。誰でもクレジットカードを作ることができ、ほとんどのお店で利用することができます。紙幣の精度は世界一高く、盗難の可能性も高くありませんから、お店も困っていないのです。
すなわち、日本のキャッシュレス決済は、クレジットカード1枚で完結するのです。そこにわざわざ色々なアプリを入れるのは、手間がかかる割にメリットが少ないのです。
そもそも、QRコード決済のために、多くの人はクレジットカードから入金しています。これでは手間が省けるどころか、より面倒になっているのです。
つまり、もしQRコード決済が浸透したとしても、それはあくまで窓口でしかなく、本質はクレジットカードなのです。これは、SuicaやApple Payのスマートフォン決済を見てもよく分かるでしょう。