グローバルなマイナス金利の狙いは、富裕層の徹底的な破壊
黒田・日銀総裁は、4日午後の衆院予算委員会で野党議員の質問に「個人の預金金利がマイナスになる可能性はないとの見解」を示しました。
日銀総裁ともあろうものが、これほど大嘘を吐いたことは、歴史に刻まれるでしょう。
まず、日銀が量的金融緩和を続けてきたことによって、銀行預金の口座に預けてあるあなたの顔値の価値は、絶対的価値(たとえば金が本来持っている不変の価値)は、相当減価されてしまっています。
このことは、メルマガ第139号パート1「景気後退が加速する2016年からは金に主役が交代か!? 」の中で、金に対する各国の相対価値の変化を追うことによって証明しました。
これは、中央銀行が札束を印刷し続けてきたことによってもたらせされたものです。
そう、「中央銀行が札束を印刷する」…これは、政府が発行した国債を民間銀行が引き受け、さらに民間銀行から国債を中央銀行が買い取り、その代金として信用創造の下で印刷しまくった札束で支払っているのです。
それは民間銀行の紙幣ですが、法的に一定額を中央銀行の当座預金に預けておかなければならない仕組みになっています。その時点で、紙幣は増えているので、あなたの預金口座のお金の価値は希釈されてしまったのです。つまり、モノやサービスを購入する際の購買力がその分、減ってしまったのです。
金本位制度から切り離された通貨システムでは、銀行に預けたままにておくと、お金の価値が減ってしまうのです。
そうであれば、預金者は銀行になど自分のお金を預けなくなってしまうので、銀行は貸出資金を確保できなくなります。それを防ぐために、民間銀行は、運用して得た利息(運用益)の一部を、預金者に還元するのです。
人口が増え続け、経済が拡大しているプロセスにおいては、活発な資金需要が見込まれるので、銀行の運用益も増えます。預金者への還元も順調に行われ(金利の支払い)、中央銀行が札束を刷って市中にばら撒き、多少、お金の価値が希釈されても、預金者はもとが取れる程度にはお金の購買力を維持できていました。
しかし、先進国では、世界的な少子高齢化に突入しています。これ以上の経済の拡大は見込まれなくなってきました。
したがって、市場を人口増加の著しい発展途上国の市場拡大に求めるほかなく、ODAなどによって新しい市場開拓のために資金を投入してきたのです。それを欧米列強の「新植民地主義」と言い換えることもできます。
結論を先に言うと、すでに、ぱんぱんに膨らんでしまった金融市場は、これから世界のほうぼうで、パチンパチンと音を鳴らしてはじけていくのです。これを止めることは誰にもできません。
アメリカ、欧州、日本の巨大市場は、それを必死になって食い止めようとしているのです。それが、最後の肉の策「マイナス金利政策」なのです。
しかし、この3つの巨大市場が破裂するのは時間の問題です。
それでも、少しでも史上最大の金融市場の崩壊を引きのばそうと、ばんぱんに膨らんでいる株式市場、債券市場を流動化(売買が一定以上行われる状態)されせため、さらにこれらの市場に資金を入れようとしているのです。
日銀は、民間銀行の資金を預かる当座預金を3段階に分ける階層構造方式を導入すると発表しました。いきなり、当座預金残高の全てにマイナス0.1%の利率を適用すると、金融機関の経営に負担がかかるため、すでに預けてある分については、今後もプラス0.1%の金利をつけることを約束しています。
それでも、民間銀行は、発表と同時に国債購入に殺到したのです。これは、日銀の目論見と逆の現象です。
つまり、この3階層構造も、いつまで続くか分からないと、民間銀行は日銀の当座預金から資金を引き出して、それで国債を買い漁っているのです。国債ならほんのわずかでも金利がつくからです。
国債の価格と利回りとの関係は逆相関の関係があります。
国債の需要が増えたことによって国債の金利は低下します。そのことによって、政府は国債の利払いが減るので、政府の資金調達コストが低減されます。金利が低く抑えられているので、政府はさらに赤字国債を増発しようとします。
そして、民間銀行は、その国債をがぶ飲みするように、再び買い入れるのです。
これは、さらなる国債バブルを生みだし、日銀が「マイナス金利幅を引き上げることもありうる」と言っている以上は、民間銀行は日銀の国債の買いオペ(応札)をしぶり、民間銀行に国債が溜まったままにになってしまう危険があります。
これは、国債の流動化を阻害することにつながり、いずり国債バブルは破裂します。そのときの規模は、私たちの想像を絶するものになるはずです。
日銀のマイナス金利導入は、結局、民間銀行を自滅させる政策以外の何者でもなく、ひいては日本の金融システムを根底から破壊することになるでしょう。
そして、もし、連邦準備制度理事会(FRB)も、欧州中央銀行(ECB)、そして、日銀に続いて、マイナス金利を採用することになれば、その規模は地球規模の大崩壊を招くでしょう。世界の中央銀行をコントロールしている国際決済銀行(BIS)の隠された狙いが、そこにあるのです。人々の銀行口座は、そのとき、すっからかんになるはずです。
『「カレイドスコープ」のメルマガ』(2016年2月4日号)より
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