少なくとも、大規模な為替介入はまだ行われていない
急激な円高に対応するため、日銀が「為替介入」をやっているのではないか、という憶測が流れています。
僕は、ずっと米ドル/円の値動きを観察していますが、「少なくとも、大規模な為替介入はまだ行われていない」と感じています。
かつて、2011年3月(震災のあと)、実際に政府の「為替介入」が行われました。僕は、その現場を目の当たりにしました。
このときの「介入額」は6,925億円だったと言われています。為替介入による値動きは独特なので、ハッキリ介入だとわかりました。とても力強い上昇で、いかにも「大量の資金が投入されたんだな」と感じました。
ここ数日の米ドル/円の値動きは「自然」で、介入が行われたときのような特異な値動きは見られませんでした。もちろん、時々「怪しい」動きはありましたが、「政府が買っている」という規模ではないように感じました。
2011年の震災のあと、為替市場では75円付近までの「円高」が進みました。2011年には、3月だけでなく、8月、10月、11月にも為替介入が行われ、その総額は14兆円程度にのぼったと言われています。
あのときと比べたら、今回、米ドル/円は110円台を一瞬付けたという程度ですから、それほど深刻な「円高」とは言えません。この程度の円高で、政府が為替介入をすることはないと思っています。
だいたい、政府が為替介入を行っても、その効果は一時的なもので、すぐに元に戻ってしまうのが常です。もちろん、実際に為替介入が頻繁に行われれば、トレーダーは「恐くて売れない」状況になりますので、そういった「心理的」な効果は期待できます。
週末の米ドル/円は、いったん113.50円付近まで上昇し、113.20円付近で引けました。この程度の反発は、テクニカル的に見て、ごく自然な値動きです。ただ、米ドル/円のチャートは、「反発が長続きせず、すぐにまた売りが優勢になりやすい形」になっていますので、月曜日以降、ふたたび円高が進む可能性を否定できません。
『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2016/2/12,13号より一部抜粋・再構成
※記事タイトル・太字はMONEY VOICE編集部による
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