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ソフトバンクGはいま買えるのか?バリュー株投資家に求められるのは「ドM気質」=栫井駿介

株価はどこまで下がるか?

それでは、ソフトバンクグループは買いなのかというと、短・中期的にはむしろ下る可能性も大いにあると思います。

それは、今後もWeWorkのような失敗事例が数多く出てくると考えられるからです。

孫正義氏と言えど、全ての投資が成功するわけではありません。まして、未上場企業への投資など、失敗の方が多くて当たり前です。

ここ数年の「金余り」で、未上場株式の相場も上昇していました。ビジョン・ファンドが投資してきたのもこの期間ですから、かなり高値で、中身のない物を掴んでいた可能性があります。

「バブル」の後に起こるのは、その崩壊です。

そのようなことが起きれば、株価を大きく下げることになるでしょう。しかも、単なるヘッドライン・リスクではなく、ビジョン・ファンドの評価損を通じて、決算も赤字になってしまうことだってあるのです。

実際に、現在の営業利益の半分は、ビジョン・ファンドの「含み益」によって稼がれています。実現益ではありませんから、相場の流れ次第では全くの逆転もあり得るのです。

出典:ソフトバンクグループ 2019年3月期決算説明資料

出典:ソフトバンクグループ 2019年3月期決算説明資料

もっと言えば、未上場株バブルと株式市場の急落は似たようなタイミングで起こります。資産の大半は上場株ですから、相場が急落すれば本体の価値そのものに大きな影響が避けられません

このように、ソフトバンクグループの株価はどこまでも、際限なく下がりうる銘柄だと言えます。

バリュー株投資家に求められる「ドM気質」

ただし、これは株価の話です。株価が下がったからと言って、経営が危ぶまれるわけではありません。携帯電話会社は手堅いですし、アリババも中国で確かな地位を築いています。

また、ビジョン・ファンドから1社でも大成功が出れば、大きなリターンを生む可能性があります。

今株を買ったとしても、次の景気サイクル(10年程度)が巡る頃には少なくともプラスになっている可能性が高いと私の中では考えているのです。

しかし、この会社の性質を考えると、保有している間に様々なバッド・ニュースや株価下落に何度も何度も振り回されることになります。その度に、売却するかどうかの判断を迫られることになるのです。

もちろん、本当のバリュー株投資家なら、それでも持ち続け、可能ならナンピンするだけの胆力が求められます。中身に大きな問題がなく株価が下がるということは、それだけ魅力が増すということだからです。

「もっと、もっと叩け!そして株価よ下がってくれ!」

バリュー株投資家には、そう言えるだけの「ドM気質」が必要なのです。

株価の底を見極める力があればそれにこしたことはありません。しかし、私を含め多くの人はそれが難しいからこそ、資金管理を徹底しながらできる限り安く買い、株価が下がったらそれを喜ぶ心構えが求められます。

あなたにはそれができますか?「できる」と答えられるなら、バリュー株投資家のとしての未来は明るいでしょう。


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image by: Sundry Photography / Shutterstock.com

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年10月25日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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