マスコミが報道しない台風災害のキーワード
武蔵小杉のタワマンの下水問題や二子玉川の堤防未設の問題も、早くから5chで喋々されていた。速報性と集合知があった。
荒川放水路、岩淵水門、彩湖、首都圏外郭放水路、八ッ場ダム、これらは、首都圏に住む者にとって、今回の台風災害のキーワードである。本当ならテレビで誰かが論じ、首都圏の水害対策の歴史と構造が説明されないといけないはずだが、それを5chの右翼が肩代わりしていた。
右翼系の官僚や学者が匿名で書き込んでいた可能性がある。テレビでは、試験湛水を始めていた八ッ場ダムが、いきなり本番に投入されて一夜で満杯に水を溜め、下流の埼玉・東京を洪水から救った事実は紹介されない。政府は隠している。これには理由があるが、ここでは書かず、稿を別にしよう。
5chの右翼はここぞばかり民主党政権を叩き、左翼は建設再開を決めたのは野田政権だと反論し、5chらしい不毛な喧嘩を続けていた。東北の被災者を尻目に。
大事なことは、そのような問題ではない。台風災害の概況と防災で機能する土木ハードウェアがマスコミに出ないことだ。
NHKに登場した関東整備局河川部の担当者は、現状についても、対策についても、今後についても、何も具体的な言葉を発しなかった。黙っていた。
責任があるから迂闊なことは言えないという立場もあるのだろうが、官僚は重要なことは絶対に国民に教えないのである。
11日から13日にかけて、この国は国交省(気象庁と河川部)が権力操縦する非常環境になっていて、彼らはすべての情報を握っていた。すべてのデータは国交技官(気象庁と河川部)に入り、内閣官房(危機管理)に報告されていた。安倍晋三が12日に平然と「終日公邸」のぐうたらができたのも、多摩川と荒川・利根川は決壊せず大丈夫だという情報(確信)が入っていたからだろう。
官僚と官邸は、大事な技術的情報を隠し、要らない無駄な情報をNHKに放送させていた。安倍晋三が「終日公邸」でぐうたら三昧だから、テレビの連中も気楽になり、民放は通常編成で番組を流していたのである。
5chの書き込みは圧倒的に東京の人間が多いため、関心と議論は多摩川と荒川が焦点となり、北関東や東北の河川には目も向けない。
『5ちゃんねる』が災害情報の公共ポータルに
『5ch』が災害情報の公共ポータルになっていた。その真実に気づかされて戦慄を覚えた。
実質的に、NHKと5chはすでに同格で、同価値で、2つが災害時の情報発信媒体として併用されている。
5chは、事実上、公的な情報機関なのだ。国民は5chを見るしかないのだ。NHKを見ても何も説明されない。アリバイ目的の(責任逃れの既成事実作りの)マンネリトークが反復されるだけで、村の防災無線と同じ「避難して下さい」の無機質な音声が、プリエンプティブに一方的に連呼されるだけだ。それに従っても従わなくても、住民は自己責任でしかないのだ。
今、現実の問題として、5chが災害情報の責任を負う(きわめて無責任で新自由主義的に酷薄でがさつな)公共機関の如くなっている。
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- 格落ちした日本 – 前回の即位礼と比べて外国賓客が横並びで格下げ(10/25)
- 即位礼の儀式は自粛・延期すべきだった – 被災地を切り捨てた天皇(10/23)
- テレビ報道はなぜ八ッ場ダムを隠すのか – 官僚に不都合な真実(10/21)
- 何も説明しなかったNHK - 5chが災害時の公共ポータル機関に(10/18)
- 星浩の「ソフトウェア」論の世論工作 – 「小さな政府」派の堤防不要論(10/16)
- 気象庁の予報ミス – 警戒と注意を後回しにされた東北地方(10/15)
- 「関西電力問題」の意味と背景 – 官邸リークによるスピンの工作(10/11)
- 中国建国70年 - 絶望と崩壊の中にあるのはどちらの国なのか(10/2)
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『世に倦む日日』(2019年10月18日号)より一部抜粋
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