業績低迷を織り込んで、PBR0.3倍まで株価は低下
日本郵政は足元2年間のEPS(1株当たり利益)が110円強で50円の配当ですから、配当性向は約40数%。株価が1,000円前後をウロウロしていますから配当利回りが5%前後(ゆうちょ、かんぽは4%台後半)と、比較的利回りが高いことで買われている面がありますが、業績低迷で今期のEPS(現在予想103円)を大幅に下回るようであれば、この配当レベルを今後も維持できるのか?と言うことです。
それを先取りして株価が下げているのでしょう。減益の中で配当を維持すれば配当性向が上昇する一方、株価の成長期待が一気に下がります。つまり株価は上がり辛くなりますから、配当利回りは高いが株価は上がらず、且つ減益どころか赤字になれば資産を食いつぶし始めることになります。それらを織込んでPBR0.3倍まで株価が下げているのでしょう。
ゆうちょ、かんぽも同じ理由で配当を維持できるのか?ということです。
ゆうちょに至っては、前期EPS71円に対して配当50円(配当性向70%)ですから、いよいよ高額な配当を維持できるのか疑問になります。無理をしているように見えます。
減益が続くことで配当を減らさざるを得ず、それにより成長期待も無くなるなら株価は下がり続ける可能性が高まります。
少なくともPBR1倍を大きく下回っているのですから、解散して資産分配でもしてくれるなら株主は報われるかも知れませんが、公益企業でそれは無さそうです。何せ役所(のシロアリ)は負担を国民に押し付けて予算を獲得することしか頭にありませんから、国民の利益の為に折角の資産を失うなんてことはしません。
間もなく中間決算の発表になります。
さて、現在3社合わせて約10兆円の時価総額を保てるのか?
B/S上の資産総額は30兆円にもなりますが、本来はこの10兆円が将来的な実態資産と言うべきなのでしょうか?
元財務官僚の高橋洋一氏が言うところの、本当の資産は役所のみが知ると言うことで、これも日本国の財務体質を知る手掛かりになるのかも知れません。この貴重な国民資産をゴキブリやシロアリが食い潰す前に何とかするのが民営化(上場)であり、事業価値を高める施策だったはずです。
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『億の近道』(2019年10月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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