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日本経済はアベノミクスで停滞…アメリカに唆されて進んだ、円安がもたらす銀行の危機=吉田繁治

ソ連経済の崩壊

1989年に人工国家のソ連は、崩壊しています。1970年代までは、共産主義が資本主義より優れているとされ、GDPの「実は中身がなかった計画された数字」での成長率は、資本主義国より高かったのです。

ソ連の経済成長は、2008年以降、GDPの政府成長率が数ポイントは高い中国と似ています。元の増発と返済のない貸付で、超富裕層を生んだ点も似ています。香港の民主化運動は、中国の共産党富裕者が、香港の不動産を買って上げたことが主因です。

ソ連の国有企業への貸付は、返済と利払いの要らないものでした。それが共産党の仲間内金融(クローニー資本主義)でした。
(注)現代の中国では、国有銀行から国有企業への貸付金は、多くが、利払いがなく返済もない。返済と利払い額と同じ貸付を、国有銀行が増やし続ければ、不良債権になりません。

長年の通貨の増発は、ロシアになって1,000倍のインフレとなって露呈しました(1998年)。

途中でのインフレがなかったのは、ソ連の物価は政府が決める統制価格だったからです。市場の闇価格は、高騰していたのです。1998年には、ロシアは、旧1,000ルーブルを1新ルーブルに切り下げて、通貨量を1/1,000に減らしてインフレをおさめています。
(注)これは通貨単位の全部を切り下げるデノミではありません。旧通貨の切り下げです。日本も、戦後に、戦前の100円を新1円にして、通貨を1/100に切り下げ、100倍から300倍(消費財の違いで異なる)のインフレを起こし、GDPの2倍もあった戦時国債を帳消しにしています。

過去はなかった、スタグフレーションの発生(1970年代)

ところが、二度の石油危機の波及から物価が上がった1970年代からの政府財政の赤字は、経済を成長させなかったのです(=国民の実質所得は増えなかった)。不況の中で、物価が上がる経済になり、「スタグフレーション(不況下の物価上昇)」と呼ばれたのです。

原因は、高くなった石油の購入のため、先進国のマネーが産油国に流出したことでした。そのマネーの中心がドバイの金融摩天楼です。(注)来月はドバイです。

このときケインズ経済学の批判として登場したのが、ルーカスの合理的期待形成の経済学です。合理的期待(プロスペクト)とは、国語では集合知による予想のことです。

人々は、未来を示す情報から将来への予測をもち、その予測(期待)で貯蓄または投資を行うとしました。(注)これはその通りです。株価での織り込みがこの期待の現象です。

政府財政が赤字になると、将来の増税を期待(予想)して、企業と家計は支出と投資を抑制する。このため、財政赤字は経済成長をもたらすとはいえないとして、ケインズ経済学を批判したのです。ここから、期待の経済学が誕生しています。

Next: 80兆ドルの社債の打ち、19兆ドルが不良債権予備軍とIMFの発表

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