fbpx

新規上場したメドレーの成長は、リハビリなどの治療をサポートする事業強化に期待

体験の構築

用事が特定できたら、次になすべきことは、顧客がなし遂げようとしている進歩に伴う体験を構築することです。製品・サービスの購入時や使用時におけるすぐれた体験が、顧客がどの製品やサービスを選ぶかの基準になるからです。では、同社はどのような体験を構築すればいいのでしょうか。

顧客である健康に不安がある高齢者にとって障害となり得るのは、具合が悪くなった際の一時的な入院ではなく、むしろまた体の具合が悪くなれば、その都度受け入れてもらえる医療機関を探して移動しなければいけないことです。それは、患者本人だけでなく家族にとっても肉体的・精神的、さらには経済的な負担になってしまいます。(k目当メルマガ第201号より抜粋)

こうした障害を取り除く手段の一つとして、地域リハビリテーションがあります。『医療マーケティングの革新』によれば、それは次のような考え方に基づいたものです。

(前略)健康に不安がある人も、住み慣れた地域でできるだけ長く暮らせる環境を整えることが重要である。このような考え方は地域リハビリテーションと呼ばれ、「障害のある子供や成人・高齢者とその家族が、住み慣れたところで、一生安全に、その人らしくいきいきとした生活ができるよう、保健・医療・福祉・介護及び地域住民を含め生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行う活動のすべて」を指す。

いずれにしても、こうした障害が取り除かれれば、顧客は「健康な体を維持することで、住み慣れた地域でできるだけ長く暮らす」というすぐれた体験ができるようになるでしょう。

プロセスの統合

最後は、顧客がなし遂げようとしている進歩のまわりに社内プロセスを統合し、顧客に対して彼らが求める体験を提供します。そうすることにより、プロセスは摸倣が困難になり競争優位をもたらすのです。

医療ヘルスケア領域におけるインターネットサービスの提供を主たる事業領域としている同社グループにとって、社内プロセスの統合という意味で課題となるのは、上記で述べた地域リハビリテーションを支援することです。具体的には、保健・医療・福祉・介護および地域住民がつながるプラットフォームを構築することです。

では、同社グループがこうしたプラットフォームを構築するのであれば、業績の評価基準をどうすればいいのでしょうか。クリステンセン教授たちは次のように指摘しています。

ジョブ理論は、プロセスを何に合わせて最適化するのを変えるだけでなく、成功の尺度も変える。業績の評価基準を、内部の財務実績から、外部的に重要な顧客ベネフィットの測定基準へと移す。

・顧客の行動について集めたデータは、客観的に見えてもじつは偏っていることが多い。データはとくに、ビッグ・ハイア(顧客がなんらかのプロダクトを買うとき)だけを重視し、リトル・ハイア(顧客がなんらかのプロダクトを実際に使うとき)を無視している。ビッグ・ハイアが、顧客のジョブをプロダクトが解決したことを意味する場合もあるが、本当に解決したかどうかは、リトル・ハイアが一貫して繰り返されることによってしか確認できない。

この指摘を踏まえるのであれば、同社グループはリトル・ハイア──顧客がプラットフォームにアクセスした件数──を業績の評価基準とするのが得策だということになります。

【参考文献】

・クレイトン・M・クリステンセン他[著]、依田光江[訳]『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(ハーパーコリンズ・ジャパン)
・クレイトン M.クリステンセン『C.クリステンセン経営論』(ダイヤモンド社)
・クレイトン・M・クリステンセン『医療イノベーションの本質─破壊的創造の処方箋』(碩学舎ビジネス双書)
・恩藏直人/編著 岩下仁/編著『医療マーケティングの革新』(有斐閣)
・有価証券届出書(新規公開時)


本記事は『イノベーションの理論でみる業界の変化』2020年1月29日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方は、バックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

image by:metamorworks / Shutterstock.com

【関連】選んで楽しい、届いて嬉しい、会社オリジナルのカタログギフト5選【株主優待到着レポ】

【関連】好決算でも、株価が下がるのはなぜ?「織り込み済み」とはどういうことなのか

【関連】2020年に狙うべき国策テーマ銘柄は?今年2年目の「ゴールデン・スポーツイヤーズ」関連

1 2 3

イノベーションの理論でみる業界の変化』(2020年1月29日号)より一部抜粋

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

イノベーションの理論でみる業界の変化

[月額880円(税込) 毎週 月曜日(年末年始を除く)予定]
クリステンセン教授たちが練り上げた「片づけるべき用事」の理論は、これまで不可能とされてきたイノベーションの予測を可能にし、その効果はアマゾンのベゾスらによっても確認されているといいます。3年目になる2018年からは内容を刷新し、従来のMBAツールとは一線を画すこの優れた理論を使い、各業界におけるイノベーションの可能性を探ります。これはイノベーションを生み出すための「思考実験」にもなります。なお各号はそれぞれ単独で完結(モジュール化)しているので、関心がある業界(企業)を取り上げた号を購読していただけます。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらTwitterでMONEY VOICEをフォロー