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新規上場したメドレーの成長は、リハビリなどの治療をサポートする事業強化に期待

思考実験──片づけるべき用事とは

『ジョブ理論』によれば、以下の問いに答えることで用事をより具体化できるようになる、としています。

1.その人がなし遂げようとしている進歩は何か。求めている進歩の機能的、社会的、感情的側面はどのようなものか。

2.苦心している状況は何か。誰がいつどこで何をしているときか。

3.進歩をなし遂げるのを阻む障害物は何か。

4.不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとっていないか。ジョブを完全には片づけてくれない商品やサービスに頼っていないか。複数の商品を継ぎはぎして一時しのぎの解決策をつくっていないか。

5.その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、また、その解決策のために引き換えにしてもいいと思うものは何か。

出典:『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(第2章 プロダクトではなく、プログレス)

用事の特定

イノベーションを起こすための最初のステップは、ある状況下で顧客がなし遂げようとしている進歩を特定することです。そして、その進歩には機能的、感情的、社会的側面があり、どれが重視されるかは文脈によって異なってきます。また、用事を特定することにより、真の競合相手もみえてきます。では、同社の場合はどうなるのでしょうか。

今回は、同社グループが課題とする「新規開発サービスへの継続投資」を取り上げます。同社グループはそれを次のように認識しています。

新規開発サービスについては、介護施設検索サイトとして「介護のほんね」を運営しております。介護のほんねにおいては、事業の立ち上げ期であること等から黒字化できておりませんが、現在は入居者紹介に基づく成果報酬が収益の中心となっており、今後のさらなる収益化及び既存事業との連携等の様々な方向性を検討しております。また、介護のほんね以外にも、既存事業とのシナジーを活かす形で、医療ヘルスケア領域を中心として事業領域を拡大しテクノロジーを活用して課題を解決するサービスを開発・提供してまいります。

ここで着目したいのは「医療ヘルスケア領域を中心として事業領域を拡大」ということ。それとつなげるのは「リハビリ」です。なぜなら、健康に不安がある顧客は、リハビリを雇うことによって、介護が必要となる時期をある程度は遅らせることが期待できるからです。ただし、それは既存の事業である介護施設検索サイトの売り上げを減らす可能性も否定できません。

こういった状況で顧客「本人および家」がなし遂げようとする進歩の機能的側面は「衰えた体の機能を回復させる」ということ。感情的側面として「不安の軽減」、社会的側面として「家族への負担」といったことを重視しています。

なお、同社グループは競合を次のように認識しています。

当社グループは、医療ヘルスケア領域におけるインターネットサービスの提供を主たる事業領域としておりますが、同様の事業領域における競合企業は多く存在しています。当社グループでは、インターネット業界で活躍してきたエンジニアと臨床現場で活躍してきた医師の双方がサービスの開発に関わる開発体制に加え、17.5万顧客事業所数を有する顧客基盤を活かして他社との差別化を図ることで、市場における優位性を構築してまいりました。今後も、当社グループの各サービスの規模拡大と質的な充実を図ることにより、一層の競争力強化を推進していく方針ですが、新規参入等の影響により競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

Next: メドレーがすべきは、地域リハビリテーション事業の立ち上げ

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