なぜカジノなのか
訪日観光客数を増やすものとして、なぜカジノ誘致なのでしょう。
東京五輪や大坂万博は、大会開催中の海外方の観光客数増は期待できますが、持続性は求められません。
持続可能、最近の言葉で言えば「サステナブル」な対策が求められます。
たしかにカジノならば、継続的に海外の観光客が来ることが期待できますし、なにより世界の富裕層を取り込むことができます。
IR統合型リゾート法案の目的には、観光のほかに地域活性化というのがあります。
カジノは、施設運営に多くの人手を必要とします。ディーラーの数をそろえることもそうですが、施設運営、サービス提供者を多く抱えることになります。
このような大きな雇用が生まれますことが、大きなメリットとなっています。
・世界の富裕層獲得
・国内雇用の拡大
単に外国人観光客が増えることだけではない要素が、カジノには期待されるのです。
ただ、カジノ運営に関しては、日本に対応ができる民間企業があるのかという問題があり、やはり経験豊富な外国企業に頼るところが大きくなるのではないかとも言われています。
そこで、言われているのが、トランプ米大統領の最大のスポンサーである、シェルドン・アデルソン氏の存在です。
アデルソン氏は、カジノ運営会社「ラスベガス・サンズ」の会長件CEOで、日本のカジノ運営において、サンズ社のノウハウを借りるところが大きくなることも予想されます。
「カジノ」という要素は、見方によっては正と負の両側面があるのかもしれませんが、日本にカジノを誘致する背景には、トランプ大統領最大のフィクサーであるシェルドン・アデルソン氏の存在が大きいのではという憶測も生まれています。
秋元司氏にまつわるIR疑獄を含め、カジノには正と負の要素が、常に付きまとうようですね。
そのアデルソン氏は、日本カジノは東京や大阪にあることが望ましいとも述べているようで、カジノ誘致が地方経済の活性化に寄与することは、やはり考えづらそうです。
ギャンブルとしてのカジノ
日本は、世界でも有数のギャンブル大国と言えます。
カジノ誘致であらためてギャンブル依存症が問題視されていますが、もともと日本は、公営ギャンブルというものが多く存在する国だということです。
たしかに、日本では賭博が禁止されていますが、公営ギャンブルは合法的に存在します。
パチンコなどは「遊戯」であって賭博ではないという認識なので、日本では、いわゆる違法な賭博は存在しないことになっていて、それゆえギャンブル依存症という概念は存在しないという「たてまえ」になります。
カジノが誘致されると、初めて賭博が存在することになり、ギャンブル依存症対策も、公的機関として対策を講じることができます。
あくまでも「たてまえ」の話です。
公営ギャンブルの売上高(2018年度)は、以下の通りです。
競馬:約3兆4,000億円
競輪:約6,500億円
ボートレース:約1兆4,000億円
オートレース:約700億円
宝くじ:約9,000億円
スポーツくじ(TOTO):約950億円
ちなみに、パチンコの売上は約20兆円です。
パチンコは遊戯施設となりますが、その遊戯施設は、全国で約1万1,000店舗あります。地方にもたくさんパチンコ店はありますよね。
この数字を見るだけでも、日本はすでに「ギャンブル天国」なのです。
ギャンブル依存症が、カジノ誘致で公の下で議論されるようになり、政府としても、様々な規制をかけることが検討されています。
自民・公明両党は、日本人がカジノに入場する際に入場料を徴収することとし、その金額を「6,000円」とすることで合意しました。
カジノ入場料は、日本人および在日外国人を対象に徴収されます。
この金額に関しては、規制が厳しすぎると経済効果が見込めないとした自民党は「5,000円以下」を主張していましたが、公明党にはギャンブル依存症への懸念が強く、モデルケースとしているシンガポールを参考にした「8,000円」を主張していました。「6,000円」は、この間を取った格好になります。
IRの整備箇所数を「全国に3ヶ所」にすることになった経緯においても、自民党は「全国4〜5ヶ所」、公明党は「2〜3ヶ所」と両党の意見は対立しての結果となっています。
入場料、整備箇所数ともに、カジノ解禁に慎重な姿勢を崩さなかった公明党に自民党が歩みよる形となっていますが、この歩み寄りには、箇所数の上限を見直す時期については、当初の「最初のIRを認可してから10年後」から「7年後」の前倒しを条件としたという背景があります。
両党はこのほか、日本人および在日外国人のカジノ入場回数を週3回かつ月10回に制限することや、IRにおけるカジノ面積を全体の3%以下にすることとしました。
訪日外国人観光客には入場料および回数制限など課されない方針となっているものの、カジノがマネーロンダリング(資金洗浄)の場として利用されることを防ぐため、入場時にパスポートによる身元確認が行われます。
日本人の身元確認はマイナンバーカードになる予定です。入場履歴等、回数把握もマイナンバーカードで行うとしています。