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今さらカジノ参入で世界に勝てるのか?すでにギャンブル天国の日本に誘致する政府の思惑=原彰宏

日本近郊にたくさんあるカジノ

そもそもアジアには、たくさんのカジノ施設があります。

シンガポール、マカオ、韓国……日本に富裕層を中心に、カジノ顧客を呼び込むためには、これらの国々との競争に勝たなければなりません。

果たして日本が誘致しようとしているカジノは、これらの国々との競争力はあるのでしょうか。

周辺のカジノ施設について調べてみますと……まず売上高を考える上で、カジノの売上である「ゲーミング売上」と、ゲーム以外の売上「ノンゲーミング売上」とがあり、その比重は施設ごとに変わってきます。

カジノですぐに思い出すのが「ラスベガス」ですが、ラスベガスがあるネバダ州では、近年ではノンゲーミング売上の方が大きくなっています。

2017年売上が約2兆9,000億円ですが、ゲーミング売上(カジノ単体売上)は、このうちの42%となっています。

シンガポールは、アジア第2位のカジノ大国で、カジノ施設をマリーナベイサンズとリゾートワールドセントーサの2つに限定していますが、ゲーミング売上(カジノ単体売上)が多くを占めています。それでも、ノンゲーミング施設も重視した統合型リゾート化を徹底しています。

2017年売上高は約5,500億円で、ゲーミング売上は77%となっています。

マカオがアジアNo1のカジノ国で、2017年売上は約3兆7,000億円、ゲーミング売上は91%となっています。中国本土からの中国人をターゲットとした射幸性の高い賭博市場という特徴があります。

韓国では、現在17ヵ所のカジノ施設があり、うち外国人専用が16ヵ所あり、売り上げは約2,700億円となっています(韓国は、原則、自国民入場は禁止となっています)。

マカオでは、カジノ入場料は無料となっています。

フィリピンにもカジノがありますが、入場料は原則無料です。

シンガポールは、シンガポール国籍の人は1回の入場で日本円換算で8,000円、外国人観光客であれば無料です。

シンクタンクの数字

日本でのカジノ誘致での経済効果に関しては、様々な数字が飛び交っています。

「年間6兆円を生むカジノの経済効果とは」(2017年3月20日 雑誌『経済界』)
「カジノ法案、経済効果年2兆円の試算も」(2017年7月31日 産経新聞)
「大阪・夢洲へのIR誘致、経済効果年6300億円」(2017年1月19日 日本経済新聞)

カジノにかかわってくるこれらの数字は、公表する機関によって大きく変わります。また、その数字の幅が、とても大きくなっています。

これは、推進派が発表すれば大きくなるというものなのでしょうかね。

そもそも「経済効果」の正体を考えて見ましょう。

言葉の定義を真正面から捉えると「あるできごとが、国や特定の地域にどれほどの影響を与えるか」を示すもので、「その影響の大きさを金額に換算したもの」と表現できます。

経済効果には「直接効果」と「波及効果」があります。

たとえばイベントを起こすとなった場合、そのイベントからの収入、チケットの売上が「直接効果」で、そのイベント参加者の交通費や宿泊費、報道関係者の交通費や宿泊費などが「波及効果」となります。

経済波及効果を算出する際のベースとなるのが、「産業連関表」です。

総務省が中心となって、国全体を対象にしたものを5年ごとに作成・公表しているほか、各都道府県や政令指定都市でも作成しているもので、各産業や消費者の間で、モノやサービスがどのように生産・販売されたのかがまとめられています。

総務省ホームページに「産業連関表」の説明が載っています。それによると…

産業連関表は、作成対象年次における我が国の経済構造を総体的に明らかにするとともに、経済波及効果分析や各種経済指標の基準改定を行うための基礎資料を提供することを目的に作成しており、一定期間(通常1年間)において、財・サービスが各産業部門間でどのように生産され、販売されたかについて、行列(マトリックス)の形で一覧表にとりまとめたものです。

ある1つの産業部門は、他の産業部門から原材料や燃料などを購入し、これを加工して別の財・サービスを生産し、さらにそれを別の産業部門に対して販売します。購入した産業部門は、それらを原材料等として、また、別の財・サービスを生産します。このような財・サービスの「購入→生産→販売」という連鎖的なつながりを表したのが産業連関表です。

出典:産業連関表とは – 総務省ホームページ

とあります。

この表の横軸にはモノやサービスを「どこにどれだけ販売したのか」が、縦軸にはモノやサービスを「生産するためにどのような費用を使ったのか」がわかるようになっていて、これらの計算から経済効果を導き出します。

経済効果の算出方法は複雑で、同じ事例でも波及効果をどこまで考慮するのかによって試算結果が変わってきます。

また、総務省の産業連関表は5年に1回しか作成されないため、タイミングによっては最新の情勢に対応できていないかもしれません。

2016年立候補時の東京都が試算した議論開催経済効果試算額約2兆9,400億円の例で見ますと…

直接効果:約1兆3,000億円
建設費:3,318億円
観客らの宿泊:1,753億円
公式グッズやテレビなどの消費:3,564億円
開催まで府ある観光客の費用:8,56億円など

第一次経済波及効果:約9,900億円
五輪特需で増えた素材などの生産額合計

第二次経済波及効果:約6,500億円
五輪関連産業で働く人の所得が伸び、飲食や買い物が増える影響

上記のように、直接効果は、ある程度積算されたものとなってはいますが、波及効果の捉え方で、合計数字は大きく変わってきます。

つまり波及効果の試算に、大きく幅が持たれる感じになっています。

カジノに関しては、この経済効果というものが6兆円という試算もあります。

経団連などは、シンガポールを参考に、IR1ヶ所の経済効果6,000億円とし、これが10ヶ所できれば6兆円としています。

ちなみに、オリエンタルランド(東京ディズニーランドなどを運営)年間売上高は約4,700億円です。

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