日銀短観から見える好調業種
しかし、厳しい言い方をすれば、私は倒産が経済にとって必要なものだと考えています。古いものが消え、新しいものが生まれない限り、経済は停滞していくからです。
目先は厳しい経済環境が想定されますが、長い目で見ればここで生まれたビジネスが大きく育つでしょう。
戦後も、焼け野原の中からトヨタやソニーといった世界的な企業が誕生しました。
人は危機感がなければなかなか動きませんが、追い込まれると驚くべき力を発揮します。まさに「ピンチはチャンス」なのです。
そう考えて足元の日銀短観をもう一度見ると、悪いところばかりではないことに気が付きます
マークした業種が、この環境下で「景気が良い」と判断している業種です。
「建設」や「不動産」は目の前の環境にすぐには影響されない遅行性があると考えられますが、「情報サービス」「対事業所サービス」はなお活況です。
これは、IT技術の発達と、それにようやく企業がついてき始めたことを意味していると考えます。
コロナが日本企業に真の「生産性革命」を起こす
日本企業の生産性は、世界的に見ても最低水準です。それは仕事が属人的であり、また「空気を読んで」昔からのやり方を変えられないからだと思います。もちろん、働く人の高齢化が進んでいることも見逃せません。
しかし、今回の不況で非生産的な動きが見直されるとしたら、大きなチャンスが生まれます。
はっきり言って、ITの活用はコストの低減と生産性の向上を同時に達成できるものです。合理的に考えれば、これを導入しない手はないのです。
巷では「働き方改革」と呼ばれていますが、これは「生産性革命」に他なりません。
これでスリムになった企業は利益水準が向上するでしょうし、ITの導入を支援する企業の売上はどんどん伸びていくでしょう。
今のような局面だからこそ、私はそのような企業に注目し、積極的に投資していきたいと思います。
この動きが本格的になるなら、戦後の焼け野原から立ち上がった日本経済のように、将来は明るいでしょう。私はその未来にベットしたいと思います。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2020年4月5日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。