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トヨタも5大銀行も悲惨な状況。安倍政権の鈍さに日本株の底打ちは遠のくか?=江守哲

大手行は厳しい含み益の減少

5大銀行が保有する株式の19年度末の含み益は、前年度末から合計で2兆2,800億円減少したもようです。世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴う株安が響き、日銀が金融緩和の一環として買い入れたETFも含み益が急減したとみられています。TOPIXを基に試算した5大銀の含み益は計5兆4,500億円。

前年度末の7兆7,300億円から3割に迫る含み益減少で、自己資本比率が低下する見通し。ただし、5大銀はリーマン・ショックでの株価暴落を受け、既に09年3月期で目減り分を損益に反映させる減損処理に踏み切っており、追加的な費用発生は一部にとどまる見通しです。

GPIFは外債投資を拡大

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は31日、20年度から5年間の中期計画を発表。運用の目安となる保有資産の構成割合(=基本ポートフォリオ)は、日銀の低金利政策による運用利回り低下を受け、収益を確保するため、国内債券を従来計画比10ポイント減の25%、外国債券を10ポイント増の25%としました。

高橋理事長は「日本の低金利が続くならば、利回りが高く流動性の心配がない外国債券に一定程度振り向けるのは合理的な判断だ」としました。国内債への投資については、「持っていたらトータルでマイナスになるものに投資していいのか、組織の中で悩んでいた」としています。

基本ポートフォリオでは、国内・外国株式はともに25%を維持します。保有資産の半分が外貨で運用されることになりますが、「為替リスクが増えるのは事実だが、長期に運用した場合は利回りの差の方が確実に効いてくる」との認識を示しました。また、直近の株価下落で年金給付への懸念が高まっていることに対しては、「評価損益が少し下がっても年金給付に影響があることは全くない」と断言しました。

外債投資の拡大には、政府の円安政策と密接に結びついていることは言うまでもありません。日銀を使って円売り介入を行うことはあまりに露骨ですし、あとでわかります。しかし、GPIFに外債投資をさせることで、円売り・ドル買いのフローを作り出せば、円高にはしづらくなってきます。よく考えたものです。

雇用は今後悪化へ

厚生労働省が31日に発表した2月の有効求人倍率は前月比0.04ポイント低下の1.45倍となりました。景気が減速したほか、ハローワークに提出する求人票の記載方法が煩雑になり、求人数が2.2%減ったことが背景。新型コロナウイルスの感染拡大による影響は限定的ですが、足元では変化の兆しがあるため、同省は引き続き注視していく方針です。

総務省が同日発表した2月の労働力調査によると、完全失業率は2.4%で横ばいでした。完全失業者が166万人で2万人増えた一方、就業者も6743万人と、3万人増えました。多くの企業が大規模イベントを自粛するなど感染を防ぐ取り組みが進みましたが、雇用への影響はありませんでした。

Next: 4月1日に日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は――

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