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トヨタも5大銀行も悲惨な状況。安倍政権の鈍さに日本株の底打ちは遠のくか?=江守哲

根拠不明の「30万円」

しかし、この「30万円」の根拠が良くわかりません。自民党の岸田政調会長は3日、安倍首相、麻生財務相と相次ぎ会談し、現金給付について「一定の水準まで所得が減少した世帯が対象になる」としました。政府は今後、所得減少の程度や所得上限など対象世帯の線引きを含めた制度の詳細決定を急ぐようです。自己申告制とする理由について、政府関係者は「一人ひとりの所得を把握するのは難しい」と説明しているようです。

しかし、なぜ簡単なことをややこしくするのでしょうか。政治家・官僚は簡単なことを難しくするのが大好きなようです。無駄な仕事を作るのがうまいですね。税金泥棒と呼ばれる所以です。

現金給付に関しては、全国民に一律支給する案が当初は浮上していました。政府・与党は所得減世帯に20万円を支給する方向で検討しましたが、国民生活への影響を懸念する安倍・岸田両氏の「政治判断」で最終的に金額を上積みすることで決着しました。菅官房長官は3日の記者会見で、「生活に困難を来す恐れのある家庭を対象にし、生計維持に必要な給付水準を検討した」としています。

岸田氏は麻生氏との会談で、自民党の提言を踏まえ、都道府県と市町村への臨時交付金の創設を要請しました。岸田氏は会談後、「1兆円で調整するという答えを頂いた」としていますが、両氏は交付金の使途について自治体の判断に委ね、限定しないことを確認したようです。いずれにしても、やることなすこと、遅い・まずい・コスト高という、どこかの牛丼屋と全く逆のことをやっています。これでは日本がどんどんだめになっていくのがわかります。

やはり自衛しかありません。株価も失政で上昇できるか非常に怪しくなってきました。政治に期待せずに、自身でしっかりと判断できるようにしなければなりません。そもそも、「アベクロ体制」や日銀のETF買いによる株高に頼ることの方が間違っていたわけですから。

6日になって、ようやく7日に緊急事態宣言を出すことで調整などと報じられています。国民のほとんどはあきれているでしょう。完全に安倍首相のキャパシティーを超えています。東日本大震災時の民主党政権の対応を馬鹿にしているからです。まさに「ツケが回ってきた」といえます。我々国民は本当に不幸です。

今後の対応策

日銀短観は、とてつもない悪化でしたが、ある程度想定の範囲内でした。驚くほどの悪化ではないでしょう。

こうなることはすでに分かっていました。したがって、他の投資家と一緒になって慌てても仕方がないでしょう。いまは冷静に市場動向を見極めるときです。安値で売らないことが肝要です。しかし、昨日は売られました。背景が良く見えませんが、かなり勢いがつきました。このような動きに巻き込まれないようにするためには、予断を持たずに柔軟に見ていく必要があるといえます。

このような状況ですから、いつどの水準で底打ちするかは全くわかりません。わからない前提で対処するしかありません。バリュエーション面では、PBRがすでに0.8倍台になっています。BPSが低下しなければ買い場になるのですが、それもわかりません。したがって、安値で買うことと同時に、下落トレンドでの先物・CFDを使ってショート戦略も組み合わせながら対処することを考えたいところです。

世界の主要な株価指数を見ると、PBR1倍割れのものがいくつか見られます。日本株だけが1倍割れになっているわけではありません。ドイツは1倍割れ目前ですが、イタリアは0.85倍、スペインは0.94倍、ロシアは0.84倍、ギリシャは0.52倍、南アフリカは0.68倍です。アジアでもシンガポールが0.99倍です。世界的に株価指数が下げている中で、これからさらに厳しい局面が来てもおかしくないでしょう。とにかく、リスクをとりすぎないことです。

Next: ウイルスの影響は完全に織り込むのはまだ先だという意識でいたほうが安全――

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