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はんこ議連のIT相、はんこ文化が在宅勤務妨げも「民間の話」と一蹴。利益相反と資質問う声

実態が見えていないのだろうか、問題を見ようとしていないのだろうか。それとも“はんこ文化”を維持するため、敢えて日本のIT化を遅らせようとしているのだろうか。

IT・科学技術担当相であり「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」(はんこ議連)の会長でもある竹本直一氏が、14日の記者会見で、「日本のはんこ文化がテレワーク(在宅勤務)の妨げになっている」という指摘について、「役所との関係ではそういう問題は起きない」「しょせんは民・民の話だ」と語ったことを朝日新聞が伝えた。

政府が民間企業に出勤者「最低7割減」を要請するなか、日本社会に根付く“はんこ文化”がネックとなり、決裁印を押すため・もらうために出勤せざるを得ない人が後を絶たない。テレビや新聞、ネットメディア等を通じ、「自分の出勤日はまさにはんこリレーのためにあるようなもの」「命の安全よりもはんこ優先」などという皮肉や悲痛の声も聞こえてくる。

しかしこれは民間企業に限ったことではない。日本経済新聞は、「印鑑証明書が必要な行政手続きは100種類以上ある」(1月27日付朝刊)と伝えており、行政手続きにおいても“脱はんこ化”が進んでいないことがうかがえる。

竹本大臣の「しょせんは民・民の話だ」という発言についても、「コロナの緊急小口貸付すら実印と印鑑証明を求められるのに、何を言ってんだこの人は」「いやいやいやいや、僕きょう役所に提出する書類にハンコ押すために、わざわざ事務所までハンコ取りに行ったんだけど」「総務省統計局にデータの申請をした際に、わざわざ紙出力させて押印郵送させただけではなく、データをデジタルでもらえるのかと思ったら、いちいち役所まで取りに来いと言われましたよ。決まりだからだとさ」などと反論する声がネットに多く上がっている。

日本維新の会の音喜多議員も、「え…生活福祉資金貸付制度も、手続きに印鑑(銀行印)がいるんですが」と疑問を呈し、「他にも国・行政が関係する手続きで印鑑必須なものを徹底的に洗い出し、改善を提言します(怒)」と自身のTwitterで発信。

某中央省庁職員を名乗る人物が「中央省庁職員の私でも今日は昨日上司が作った文書の内容確認して押印するために通勤電車で出勤なのだが??民間の話だけではない。きっと1番デジタル化が進んでないのは役所」と役所の実態を投稿したり、市議会議員が「緊急事態宣言中でも連日、ウチの狭い市役所には大勢の市民が来庁。市民も職員も不安に感じながら必死にやっているというのに、何なんだこのポンコツ発言は」と怒りの投稿をしたりと、「役所の届け出はデジタル化が進んでいる」という竹本大臣の発言を否定した。

共同通信は同日の会見で、竹本大臣が位置情報を活用した新型コロナウイルスの感染経路を追跡するスマホ向けアプリの実証実験を月内にも始めるとの意向を示したことを伝えているが、すでに韓国では、感染者の移動の追跡・更新、近隣の薬局におけるマスク在庫情報のリアルタイム更新、自己隔離および感染が疑われる人と濃厚接触した人の監視、自己診断などのアプリが多数リリースされている(化学工業日報)。

IT化において日本が遅きに失しているのは、IT大臣の専門知識の不足に加え、危機感の欠如や自分の持つ権益を守る姿勢にあると言われても仕方がないだろう。一国の舵取りをする大臣は適材適所であって欲しいと思うのだが、残念ながらそうではない日本政府の実情が次々と露呈してきている。

Next: 「利益相反大臣は即刻更迭を」竹本IT相に批判の声

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