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吉野家はコロナに打ち勝つか?超特盛・RIZAPコラボのダブルヒットで黒字転換=馬渕磨理子

牛丼の「吉野家」は堅調

ここからは、堅調な牛丼の「吉野家」に焦点を当てて分析していきます。外食業界の好不調を知るための重要な指標として、毎月公表されている「既存店売上高」というものがあります。これを見ると、2019年3月から直近の2020年2月まで、12か月連続で既存店の売上高が前年同期を上回っています。

2018年10月の決算説明会で代表取締役社長 河村泰貴社長によると、「店舗におけるサービス向上の転換」と「売上高を伸ばすことで、利益を確保」することをあらためて述べています。吉野家は築地からスタートし、“忙しい中でも、美味しいものを食べたい”人たちの胃袋を掴み、成長を遂げてきました。しかし、従来型の店舗仕様では、「今の消費者にあったものにマッチしていない」、「10年先の成長を考えると、若年層・女性層の獲得ができていない」ということを課題に感じ、2017年から新しいビジョンのもと、店舗形式を変えています。

時代にマッチしたサービス向上により、利益を確保していくスタンスですが、どのような施策を行ったのでしょうか?それを見て行きたいと思います。

絶好調の理由は、結果にコミットしたあのメニュー

絶好調の理由はなんでしょうか。ずばり、それは2つの新メニューの投入でした。

1つは、単価の高い牛丼の「超特盛」。牛丼並盛が360円なのに対し、超特盛はその倍以上の780円。しかし、とにかく牛丼をたくさん食べたいという一定のニーズは存在しているため、そのような人たちをターゲットとしました。

一方、これと真逆のコンセプトで絶好調だった新メニューが、鶏肉や野菜を使った「ライザップ牛サラダ」。こちらは並盛500円で414カロリーととてもヘルシー。吉野家は迷走せずに、とにかくたくさん牛肉を食べたい顧客と、健康志向の顧客の両方を取り入れ、売上を拡大することに成功したのです。

さらに、2018年大好評だった『夏休みお子様割』を2019年も7月20日~9月1日の期間限定で行っています。小学生以下の利用は牛丼並盛が半額、牛丼並盛以外の丼・定食・カレーは190円引きで提供。子供が長期休暇となるこの時期をチャンスと捉え、食と家計をある意味サポートすることで、主婦層の心をガッチリ掴みました。

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Next: 従来型のU字型のハイカウンターは、女性は入りづらい店舗様式であった――

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