世界のコロナ死者数は公表数よりもずっと多い可能性が出てきた。海外報道をもとに解説するとともに、都市封鎖せず善戦を続けるスウェーデンの現在を紹介したい。(『相場はあなたの夢をかなえる ?有料版?』矢口新)
※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ?有料版?』2020年4月24日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。信済みバックナンバーもすぐ読めます。
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。
コロナ死はもっと多い?
先日、変死とされていた死亡者たちが、後になって新型コロナウイルスに感染していたことが明らかになった。行き倒れの人もいたというので、発見者や警察関係者、医療関係者のリスクの大きさが慮られる。
世界的にも、医療機関に行かずに死亡した人たちが多いので、実際のコロナ関連死はもっと多いのではないかと推測されている。
そうしたことから、例年同時期の平均と比較して、今年の死亡者数が明らかに多い国や地域をニューヨークタイムズがまとめた。
以下が、国名地域名と比較時期、増加率と死者数、コロナ死だと報告された死者数。そしてカッコ内が平均値との差なので、プラスがコロナ死に加算するべきだと疑われる死者数だ。
<例年同時期より今年の死亡者が急増した国・地域>
スペイン(3/9~4/5):66%増1万9,700人、うちコロナ1万2,401人(+7,300人)
イングランド&ウエールズ(3/7~4/10):33%増1万6,700人、コロナ1万0,335人
(+6,300人)
ニューヨーク市(3/11~4/18):298%増1万7,200人、コロナ1万3,240人(+4,000人)
フランス(3/9~4/5):21%増1万0,500人、コロナ8,059人(+2,500人)
ネザーランド(3/9-4/5):33%増4,000人、コロナ2,166人(+1,900人)
イスタンブール(3/9~4/12):29%増2,100人、コロナ1,006人(+1,100人)
ジャカルタ(3月):+36%1,000人、コロナ84人(+900人)
ベルギー(3/9~4/5):+25%2,300人、コロナ1,632人(+700人)
スイス(3/9~4/5):21%1,000人、コロナ712人(+300人)
スウェーデン(3/9~4/12):12%増1,100人、コロナ1,160人(-50人)
※参照:25,000 Missing Deaths:Tracking the True Toll of the Coronavirus Crisis – ニューヨーク・タイムズ(2020年4月21日配信)
つまり、ニューヨーク市の今年の死者は例年同時期の平均より298%も多い1万7,200人で、うち1万3,240人がコロナ死だと報告されているので、4,000人もの人が例年にはない死因(コロナ)で死亡した可能性があるのだ。
一方、スウェーデンなどはマイナスで、例年より12%多い死亡者はすべてコロナ死だと言えるのだ。もしかすると、医療の充実が他の死因を50人減らしたのかも知れない。
私はそうしたスウェーデンに注目している。ほぼ通常の社会生活を営み経済活動を維持しながら新型コロナウイルスと共存し、犠牲者を最小にしようと努めているからだ。
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