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『あの日』を読んで感じた小保方晴子さんの「無実」=吉田繁治

「STAP現象の検証実験」は、STAP細胞の存在を否定するものではなかった

理研(理化学研究所)が、小保方晴子氏を参加させて行った「STAP現象の検証実験」は、STAP細胞が本当あるのかどうかを、検証したものではありません(2014年の12月に終了)。

Nature誌に発表されたプロトコル(作成の手順)で細胞を作ってみて、同論文にある、キメラマウス(2つの異なる遺伝子をもつマウス)を作るSTAP細胞になるかどうかを実験したものです。

小保方さんのプロトコルは、組織になって分化した後のマウスの細胞(T細胞)を弱酸性の溶液に浸して、機械的な刺激を加えるという方法です。
(注)YOUTUBEには理研、笹井氏、若山氏、小保方さんの記者会見の動画が残っています。今回、ほぼ1年ぶりに確かめました

われわれの関心は、「STAP細胞があるのかどうか」でした。これは、未だに不明です。

数年後に、あるいは近々、小保方さんがNature誌の論文で示していたプロトコル(手順)とは違う方法で作られるかもしれません。それは、まだ分からない。STAP細胞様のものがないことを証明することはできないからです。

【2つの検証が必要】

組織に分化してDNAの組み換え(TCRの再構成という)が起こった後のT細胞(リンパ球)が、小保方さんのプロトコルで初期化され、多くの組織や臓器になりえる多能性を獲得したかどうか、これを証明するには、以下の2つの検証が必要です。

(1)STAP細胞様のものは、分化したT細胞(リンパ球)が、初期化されてできたものである。

このためには、TCR再構成というDNAの組換え(リプログラミング)が起こっていることを、証明することが必要です。

(2)このSTAP細胞様のものは、組織や臓器に分化できる性質を獲得している。つまり受精卵やES細胞のように、多くの組織・臓器に分化できる。

このためには、テラトーマ(多くの臓器がグチャグになった奇形種)ができること、及び、キメラマウス(2種の遺伝子(DNA)をもつマウス)ができること。

理研の、小保方さんを交えた検証実験は、

(1)小保方さんのプロトコルで作った「STAP細胞様のもの」には、TCRの再構成が見られないこと
(2)従って、その後のテラトーマも作れず、キメラマウスにもならなったということ

でした。

キメラマウスができれば、そのSTAP細胞様のものに多能性があるという決定的な証拠になります。

笹井芳樹CDBセンター長は、STAP細胞には、ES細胞にはなく、われわれがまだ知らない性質があるのかも知れないと思っていたと述べています。途中の検証が、多能性の獲得を否定するものであっても、若山教授の手でキメラマウスができるなら、それが決定的なものになるからです。

ではNature誌に載ったテラトーマの画像と、若山山梨大教授が作ったキメラマウスは、一体何だったのか、となります。

これに対する検証実験の答えは「多能性をもつES細胞が混入したもの」ということでした。これで一件落着ですが、なお釈然としないものが残ります。

Next: 疑惑1:小保方さんが200回は作ったと言ったSTAP細胞は何だったのか

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