疑惑1:小保方さんが200回は作ったと言ったSTAP細胞は何だったのか
監視下で行われた再現実験でも、40回は作ったと言っています。
これについて小保方さんは、『あの日』で以下のように述べています。
STAP細胞の作成手順は、(1)マウスから細胞を取りだし、(2)いろいろなストレスを与え(酸や物理的刺激など)、(3)1週間ほど培養します。<中略>(1)(2)の作業はそれ自体にそれほどの時間はかからず、毎日のように並行して培養していました。培養後に多能性マーカーで陽性であることを確認してSTAP細胞が作成できたことを確認していました。(同書引用)
Oct3/4陽性の細胞塊を作成したところまでをSTAP細胞を作製した根拠として述べたことを説明した。(同書引用)
【発光現象への推理】
以上からわかることは、小保方さんは、その後のTCR再構成を確認する前に、多能性マーカーを入れて、蛍光色(緑色)に光るのを見て、STAP細胞ができたと言っていたことになります。
(注)TCR:T Cell Recepter:リンパ球のT細胞受容体
多能性マーカーは、ES細胞やiPS細胞などの、多能性を獲得した細胞を確認できる試薬です。多能性を獲得した細胞は、緑色の蛍光色を発します。
これが、記者会見で小保方さんが、「STAP細胞はあります」と言い、弁明の書、『あの日』も書くことができた理由でしょう。
しかし、外的な刺激で死滅するときのT細胞も、緑色の蛍光色を発光します。これが自家蛍光です。刺激を与えられたT細胞(リンパ球)が死滅するとき発するものです。
しかし、死んで自家蛍光した細胞は、赤色にも発色するので、緑色にしか光らないOct3/4遺伝子をもち、多能性を獲得した可能性がある細胞と区分できます。
(注)Oct3/4とは、未分化の細胞が自己を複製するとき関与する遺伝子です。Oct3/4:Octamer-binding transcription factor 3/4。細胞内の多能性をもつOct3/4遺伝子が蛍光を発する現象は、GFP(Green Fluorescent Protein)の発現と言われます。わが国の下村博士が、クラゲからGFPを発見し、2008年のノーベル化学賞を得ています
ただしこの段階では、多能性を獲得した「可能性」にとどまります。その細胞を移植し、テラトーマ(臓器がゴチャゴチャにできた奇形種)の生成、または、2種の遺伝子をもつキメラマウスの作成ができなければ多能性があると言えないからです。
(注)Nature誌の論文にあるテラトーマの写真は、早稲田大学時代の小保方さんの、博士論文からの流用だったことが、もっとも早く明らかになっています。「単純な取り違えミスだった」としていますが、「本モノ」の写真の所在は、まだ明らかではありません
【笹井センター長は、死滅した細胞ではなかったと証言】
加えたストレスで「細胞の80%くらいは死滅し、20%くらいが生き残って多能性を獲得するようだ」と笹井芳樹氏(論文の共同執者)は記者会見で言っていたのですが、検証チームは以下で述べるように、これを否定しています。
笹井氏は、「STAP細胞は死んでゆく細胞ではなかった」と、記者会見では証言していました。
ノーベル賞候補者ともされていた、理研のCDBセンター長の笹井氏は、小保方さんにNature誌の論文を書く指導はしていますが、自らは実験を行っていません。時々、実験現場を見ることと、必要なデータの指示をしていたという。