疑惑2:若山教授によって作られたキメラマウスは何だったのか
小保方さんは、「STAP細胞様のもの」を、当時は理研にいた若山教授に渡し、若山教授がキメラマスウ作成の実験を分業していました。
組織や臓器に分化させるには、「STAP細胞様のもの」から、STAP細胞幹を作らねばならない。細胞幹は、単なる細胞の塊ではなく、自己複製をして分化する能力をもったものです。怪我をしたとき、傷口に発生する新しい皮膚は、細胞幹からのものです。
STAP細胞を長期培養したしたものです。長期培養を行ったのも保存を行ったのも若山先生ですので、その後に何が起こったのか、私にはわかりません。(同書引用)
多能性のある幹細胞を移植し、2つの遺伝子(つまり4人の親)をもつキメラマウスを作る技術において、世界で卓越しているのは若山教授でした。
若山教授は、「小保方さんから渡されたSTAP細胞を、ES細胞のようにバラバラにして移植したときは、キメラマウスはできなかった。あるときSTAP細胞塊を顕微鏡で見ながら、メスで切り刻んで移植したらと思いつき、その通りにやったらキメラマウスができたんです。」と記者会見でも言っています。
そのとき、若山教授は、「今回分かったのは、小保方さんにこれでSTAP細胞を作ってくれと渡していたマウスとは、違う系統のマウスの細胞だったことです。」と言い、もっとも早くNature論文の撤回を申し入れています。
何か、若山教授は他にも気がついたことがあるのかも知れませんが、発言がないので不明です。
小保方さんは、「若山さんも独立して、STAP細胞を作ったことがある」と言っています。ただしこれは、上に書いたような、緑の蛍光を発する死滅した細胞であった可能性が高い。
外部の識者も入れた調査委員会は、「若山氏の手でキメラマウスができたのは、STAP細胞からではなく、混入されていたES細胞からだった」と結論づけています。
ところが、このSTAP細胞様のものを、マウスの受精卵から生じた初期胚に注入したところ、マウスの胎児と胎盤ができたと、Nature誌の論文にはあります(作成者は若山教授)。
ES細胞の場合は、移植しても胎盤はできないことが証明されています。このためES細胞ではなく、新たな万能細胞であるSTAP細胞だともされたのです。
小保方さんと若山氏は、このとき「胎盤が光った」と歓喜したという。
理研は、胎盤ではなかったものを、若山教授が胎盤と見誤ったと結論づけていますが、これは推測です。
見誤った証拠はないからです。このあたりは、まだ闇です。
(注)おそらくは冷凍保存されているその胎児マウスを検査すればわかるでしょう
ES細胞の混入についての疑念
ここからは、推理です。
小保方さんが、何らかの方法で、STAP細胞様のものに、ES細胞を混入させたと仮定します。これが意図的なら、「STAP細胞が存在しない」ことを、小保方さんは知っていたことになります。
このため、若山教授から渡されたマウスとは遺伝子の系統が違うマウスの受精卵から作られたES細胞を渡したということになります。
【胎盤ができたという判断は、何だったのか】
ところが、ES細胞だと知っているはずの小保方さんにも予想外の「胎盤」ができたと若山教授は判断したのです。
理研の調査委員会(委員長桂勲 国立遺伝学研究所長)は、若山教授の判断が間違っていたと、とても簡単に結論付けていますが釈然としません。若山教授は、今のところ黙して語りません。
【STAP細胞がないことを、小保方さんは知っていたのか】
小保方さんが、「STAP細胞を作ることができない(あるいは、自分の方法では発見できない)」と知っていなければ、ES細胞を混入させることは、ないはずです。
ところが、ES細胞が混入していたというのが、調査委員会の結論です。そうすると、小保方さんは、「STAP細胞を作ることができない。あるいはSTAP細胞は存在しない」と認識していながら、STAP細胞を作る実験を続け、2014年9月以降は理研の検証チームにも加わって、12月まで作成実験をしていたということになります。
知識不足で、単にわからなかったことが理由でない限り、普通の神経では、耐えられないでしょう。
小保方さんは、「並外れた神経」の人でしょうか。『あの日』を読みつつ、ほぼページごとに、これを思っていたのです。
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