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韓国ホワイト国除外から1年、「日本を負かした」と喧伝する文政権を襲う経済崩壊=勝又壽良

文在寅大統領「大本営発表」の空虚

文氏は6月29日、「日本が輸出規制を断行してから1年間に韓国は奇襲的措置に揺らがず正面から突破し、禍転じて福となす契機を作った。主力産業である半導体とディスプレーを狙った日本の措置が、韓国経済に直撃弾になるという否定的な見通しは当たらなかった」と評価した。続けて、「ただの1件の生産支障もなく、素材・部品・装備の国産化を繰り上げるなど成果を作った。誰も揺さぶることはできない強い経済へ進む道を開いた」と話したのだ。以上は、『中央日報』(6月29日付)が報じた。

この文発言は、まさに「大本営発表」である。

日本は、輸出数量規制という直撃弾を撃たなかった以上、韓国に被害が出るはずがない。この事実を知らずに、「勝利宣言」を発したものだ。韓国与党は、大本営発表を真に受けている。「徴用工補償問題で韓国が差押物件を現金化しても、韓国の被害を食い止められる」と間違った結論を出しているのである。

韓国産業界は、ここ1年間にわたる日本企業の輸入状況で、変化があったかどうかを見ておきたい。結論を先に言えば、輸入規制の被害を受けなかったのだ。

韓国経済団体の全国経済人連合会(全経連)が6月30日、日本が昨年7月に対韓輸出規制手続きを強化して以降、韓国の素材・部品・装備(装置や設備)の競争力は小幅に上昇したものの、依然として日本の90%水準にとどまっているとする調査結果を発表した。『聯合ニュース』(6月30日付)が報じた。

この調査は、昨年の売上高上位1,000社(金融業種を除く)のうち、日本からの輸入を行っている韓国企業149社を対象にしたもので、日本の対韓輸出規制強化から1年間の素材・部品・装備の競争力変化に関するアンケート調査である。

全経連によると、日本から素材や部品、装備を輸入する主要企業は、昨年7月時点での日本の素材・部品・装備の競争力を100とすると、韓国の素材・部品・装備の競争力は、昨年7月の89.6から今年6月現在で91.6と小幅に上昇したと自己評価している。

日本が昨年7月に3品目の輸出規制を強化し、翌8月に輸出管理の優遇対象国「グループA(旧ホワイト国)」から韓国を除外して以降、素材・部品・装備の日本からの輸入に苦労したと回答した企業は、全体の23.5%にとどまった。45.6%は苦労がなかったと答えた。日本の措置が、実際の輸出規制につながらないケースが多かったことを示すものだと、全経連は説明している。

韓国企業が、日本との関係改善の必要性を感じていることも明らかになった。66.4%は日韓関係を改善すべきと回答し、改善は必要ないとの回答は3.4%にとどまった。関係改善に向け最も適切な方策としては、日韓政府間の外交的妥協(66.4%)を挙げた企業が最も多く、次いで世界貿易機関(WTO)など国際仲裁手段の活用が11.4%だった。

全経連の関係者は、日本が輸出規制を強化してからの1年間に韓国の素材・部品・装備の競争力は多少上昇したものの、短期間で日本レベルまで引き上げるのは難しいとし、官民で競争力強化に努めるとともに、日韓両国が輸出規制の解消へ積極的に努力すべきだと指摘した。

日本が生殺与奪の権握る

以上のアンケート結果を見ると、韓国大統領府と韓国与党の吹聴する「韓国無害論」が、いかに事実に基づかない大法螺であるかが分かる。

韓国メディアも、この大本営発表に惑わされた報道を続けてきたのだ。その都度、私は反論した。韓国産業界の弱点が、一望の下に展望できる以上、日本の「反撃策」はいくらでもあることが分かる。不毛の争いだが、「韓国がお望みならば」という身持ちにもなるのだ。

日韓の金融面での関係はどうか。

日本が韓国に対する金融制裁では、融資金回収、資本市場投資回収、送金制限などが挙がっている。企業の円建て融資は、中断されても他の補完措置が可能だろうと、韓国当局は鷹揚(おうよう)に構えている。

金融監督院金融統計情報システムによると、昨年3月末基準で韓国国内に支店を置く日系銀行4カ所の総与信は18兆2,995億ウォン(約1兆6,881億円)だ。全外資系銀行韓国国内支店の総与信74兆3,134億ウォンの24.6%になる。全体の4分の1にも当たる、日系銀行の融資ウエイトの高さに注目すべきだろう。日韓併合時代、日本の金融機関が強固な地盤を築いていた名残であろう。

韓国は現在、3回目のウォン投機が来ないという前提である。だが、起きないという保証はないのだ。

過去のウォン投機時もそうだったが、海外では日本の動きを見ている。日本が支援の手を差し伸べなければ、いち早く韓国から逃げ出すのだ。日本が、ウォン投機の歯止め役になってきた事実を忘れている。日本は支援の手を控えるべきである。

Next: 日系企業は日系金融機関の進出を背景に、韓国への対外直接投資を行ってき――

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